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68.知識を増やす

「どうしたら、そんなに物知りになれますか?」


 モーリンが一番聞きたかったことを尋ねた。


「私は見えるだけだけど、今のモーリンさんのように何事にも興味を持って、知って、考えていけばなれると思うよ。一般的な回答で申し訳ないけど、近道は無いんだ」

「そうですか! ありがとうございます」


 モーリンはヒイから返ってきた答えに満足していた。自分が行っていることは無駄ではなかったし、これだけ色々知っている人がそう言うのであれば、それを突き詰めていけば自分の目指すものになれるはずだ。


「サラナサさんもモーリンさんと同じ道を目指しているの」

「っ。そう」

「本当!私と同じことに興味を持っている人、初めて!!」

「私も、な、仲良くして下さい」

「勿論!!」


 ぎゅっと目を瞑り、勇気を振り絞って告げるサラナサに心地の良い了承の返事が来る。

 キックとモスリンが嬉しそうに微笑んで見守っている。モーリンと同じくらいの年頃で話せる友達を作ってやりたいと思っていたのだ。モーリンは上のモック世代とその下の世代の間で村には近しい子供がいないのだ。


「さて、私たちはカールさんを呼んで、数字の文字表を作ってしまいましょう。モーリンさんとサラナサさんはどうする?」

「私、完成形を見たいです」

「私も見学したい」


 今は絵描きとして働いているカールが呼ばれ、数字の文字表のデザインを決めていく。


「分かった。数字と数字の読みと数をいれると」

「読みは文字表で確認すれば読めるって凄いでしょう!!」


 カールに自慢気に説明するモーリン。カールにとってもモーリンは妹のようなもので、眼差しが暖かい。木材の相談に来て話を聞いたジョンは妹のように可愛がってはいるが、突っ込むところは逃さない。


「良かったな、モーリン」

「いや、モーリンが考えた訳じゃないんだろう?」

「そうだけど!凄いの」


 三人がワイワイやり出すと、モックも戻って来た。


「お前たち、先生を放って何やってんだ? 全部、決まったのか? 親父とお袋も止めろよ」


 そう言って全てをまとめて、モックの村への見学は終了した。


 帰り道に何かを考え込んでいるサラナサにヒイが聞く。


「サラナサさん、何か気になることがあったの?」

「・・・うん。私も見えるから、ズルしているでしょう? でも、今日の絵は正解も完成も見えないから。そういうものを私は知りたいと思ったの」

「ズルしているのとは違うと思うけど、芸術は好みと人それぞれだし。いいね。見つかったね」

「うん」


 ヒイはサラナサの輝くような表情に、モックの村ヘ定期的に通うように何とか算段することにした。

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