67.疑問
「モーリン!」
「こんにちは。モックさんの妹さん?」
「はい。こんにちはモックの妹のモーリンです。勉強道具をありがとうございました」
しっかりとした受け答えをする、顔や持っている色味はモックに似ている妹だ。
「何故、木が必要かっていうのは、木が育つためには土が必要です」
「はい」
唐突に始まった説明にモーリンが神妙に頷く。
「土を山に留めておくには木が必要です」
「そこが疑問です」
「山に木が無いと、土を抑えるものがありません。雨が降る度に土が流れます。山からどんどん土が無くなると?」
「木が生えなくなる」
「ええ。土も少なくなりますし、種も苗も流れます。そうなるともう、山も木もなくなります」
「お兄ちゃん、凄いよ。凄い」
「ああ。先生は物知りだからな。お前も喜ぶと思ったよ」
「分かった!凄く分かりやすくてビックリした」
理解すること、理解できたことを表現するように、わーい、わーいと喜びながら、モーリンは全員の周りを回っている。この世界のことなので、鑑定で見れば良く分かって助かっているヒイだった。
「モーリン。家で商品のことを親父と一緒に先生に説明してくれ」
「はい。こちらです」
モックの言葉にモーリンが率先して案内してくれる。
やはり、モックがよく似たというべきだろう。父親キックと穏やかそうな母親モスリンが待っていて、挨拶と自己紹介をしてくれ、早速相談に入る。
「あの、数字も同じようにしてみるのはどうですか?」
「それはいい案ですね」
クロを付けたヒイが代表して商品の相談にのることにして、他の皆はモックが村を案内してくれると言うので任せた。ただ、サラナサだけ興味があると言って残っている。
「じゃあ、父が作ってもいいですか?」
「勿論。持ち運びの文字表と同じ扱いでいいですよ」
「ありがとうございます。あ、あの・・・」
「モーリン、俺が言う。お支払いはしますので、最初だけ書いて頂けないでしょうか?」
「ええ。いいですよ。文字表と同じ大きさにして、数字も繋げられるようにしますか?」
「お父さん、そうしよう!」
「そうだな」
「絵はどうするの?数字の読み方もいるかしら?」
モスリンが首を傾げる。キックも悩ましげだ。
「では、数字を大きく書いて、読みと数が分かるように線をいれますか?」
こちらの世界の画線法は縦線四本の上から斜めに一本の方式だ。日本で言うと「正」の字での数え方だ。
「それはいい」
「分かりやすいわ」
「数字と数字の文字と数と読み。凄い」
モーリンの目が一層輝く。サラナサも興味津々だ。木の話から熱心に聞いていた。本人が話していた通り、知りたいことが沢山あるのだ。それを貪欲に知ろうとして、吸収していく。




