59.団体
「こんにちはー」
「いらっしゃい。お待ちしてました」
「キキラーティカさんから伺いました」
ニカが普通に店に入り、二回目だが腰が引けているミハと、初めてで後ずさりしそうなテレーズが続く。産まれた時からこの街に住んでいるテレーズだが、魔女の店の近くに来たことは無く、この特徴的な外観を見たことはなかった。
「今日は黒焼きの選別をお願いできますか?」
「黒」
「焼きの」
「選別」
三人が片言になった。
ニカは見本を提示され、思った程グロテスクではないことに安心しながら、一つに手を伸ばす
「直に触ると危険です。これで挟んで、形毎に分けて下さい」
「わ!」
ニカの代わりにミハが驚きの声を出し、恐々差し出されたピンセットのような物を手に取って作業を始める。ユガリがそれを見て簡単に説明をしてくれた。
「こちらは『やあの型』で、『直立』、『うねり』、『足蹴』、『ちぎれ』、『その他』に分かれます。迷ったら、その他に入れて下さい」
「「「・・・」」」
「やっている間に慣れますから。お話しながらでもできますよ。何か、聞きたいことがあったのでは?」
何とか気を取り直して、ニカが代表して問い掛ける。
「商業ギルドに入っていないって聞いたんですが・・・」
「キキラーティカからですね。魔女は商売じゃないんです。生き様です。それなのに、商業ギルドの勧誘が煩くて、困ります」
「大丈夫だったんですか!?」
ミハが最初の方の発言は流し、気になることだけ聞く。
「ええ。魔女の店はチェーン店ですから」
「団体の力で何とかなるんですか?」
「魔女の団結は強力ですし、商業ギルドはギルドとは言っても横のつながりがほとんど無いんです」
「冒険者ギルドはあるんですか?」
「ありますよ。違う町に行っても特に何も変わりませんが、商業ギルドは街毎に領主との関係性なのか変わりますね。詳しいことは商業ギルドに入っていないため分かりませんが、お金が絡むと大変ですねー。その点魔女はお金を追求するものではありませんから」
ふふふとユガリが笑う。ミハが色々飛ばして追加で尋ねる。
「また少し経ったら勧誘されたりはしないんですか?」
「上が入れ替わったから大丈夫なはずです」
「入れ替わったんですか?」
「そう、聞いています」
キキラーティカの口ぶりではユガリが商業ギルドを何とかするかのようだったが、違ったのだろうか。ニカとミハには表面上は全く窺い知れないし、怖くてそれ以上聞けず、ヒイに遠くから見て貰うことにして頼まれた仕事に戻った。テレーズは黙々と作業し、フレーズのことを話題にして最後は和やかに魔女の店を後にした。




