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58.ほっと

「ああ、そのユガリの店だが、またあんたたちに手伝いに来て欲しいそうだよ」

「水晶磨きで?」

「何を頼みたいかまでは聞かなかったが。本当にどこで知ったんだか、あいつはあんたたちがあたしの家に出入りしているのも、鍛冶場を再建したのも知ってたよ。伝えちゃいないんだけどね」

「わー。凄い情報収集能力」

「それですませていいもんかね。どこに耳を置いているんだか」


 そう言いつつも気にしていないようなキキラーティカが続ける。


「今度訪ねて行ったほうがいいですか?」

「そうしてくれると助かるよ。ああ、あそこは今、商業ギルドに目を付けられているみたいだから、少し時間をおいてからの方がいいね」

「え?」

「今の商業ギルドはどうしようもないんだよ。だから、ユガリが少し変えるんじゃないかい」

「ユガリさんは大丈夫なんですか?」

「本物の魔女だからね。大丈夫だろ。そもそも魔女の店は商業ギルド所属じゃないからね」

「商売しているんですよね?」

「まあね。詳しいことは知らないが、魔女は商業じゃないそうだ」

「まあ、職業? でしょうからね」

「興味があれば、言った時に聞いてみれば大抵のことは教えて貰えるよ」

「ありがとうございます。そうしてみます」


 キキラーティカから思ってもみないことを聞けたニカとテレーズは急いで家に帰って、ヒイとミハに伝えたのだ。


「ミハ。ご指名だよ」

「え?なんの!」

「水晶磨き」

「・・・ああ。あれ。綺麗になってはいるんだろうけど、良く分からないんだよね」

「うん」


 ニカの言葉に一瞬沸き立ったミハだが、仕事内容を聞き表情が平坦になる。ニカも真顔で同意した。二人の様子に、元気づけるようにテレーズが声を掛ける。


「私もお手伝いしますよ」

「テレーズ・・・。魔法を使わないことを意識して生活したことある?」


 ニカの言葉にテレーズは意味が良く分からず、首を傾げる。


「魔法を使わないでおこうと思った程、魔力が強くないので、無いですね」

「ニイちゃん。まずは一緒にやってもらおうよ。エルは冒険者の仕事をしといてもらおうかな」


 子供たちの稽古をつけているエルディランドゥの水晶玉磨きは免除された。


「それがいいね」

「あの、そんなに過酷なんですか?私でも大丈夫でしょうか?」

「うーん。魔法を使わないことを意識できれば、普通の掃除と変わらないよね、ニイちゃん?」

「テレーズ、ごめん。考えさせすぎちゃって。試してみて駄目だったら、魔女の店を見学させてもらうといいよ。フレーズさんのことを聞いてもいいだろうし」

「フレーズさんと何か関係あるの?フレーズさんも魔女なの?」

「いえ。祖母は商売人ですよ」

「フレーズさん、ユガリさんとキキラーティカさん、ズウゾさんで組んで冒険してたんだって」

「ええー!!」


 驚嘆の声に、何事かとヒイが近づいてきたので、キキラーティカに聞いた話を伝える。


「それは、確実」


 ヒイの実感のこもった感想で、商業ギルドについては何とかなりそうで、皆でほっとした。

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