57.伝える
「お姉ちゃん。今日、ケイと一緒に帰って来たけど、何かあった?」
「うーん。商業ギルドがね。ちょっかいかけてくるかも・・・。ニイちゃんにも言っておかないと」
「キキラーティカさんも危険?」
「大丈夫だとは思うんだけど。ズウザさんには気を付けてあげてね。不審人物というか知らない人は鍛冶場に近づけないようにした方がいいかな」
「アキちゃんに頼む?」
「そうだね。トオさんとアキちゃんにも頼んでおこう」
「頼られたら喜ぶよ」
心配そうに聞いてきたミハに気を付けるように告げ、ニカとアキ、トオにもお願いしておく。そして、皆、冒険者ギルドに近づかないように伝えておく。勿論、商業ギルドもだ。
クロが心配して、大きくなって付いて来てくれるようになった。スキルもしっかり活用している。怪しい動きがあると、吠える。通常には聞こえないが、効果はある。クロとくっついていると空気や体が振動するので音が出ていると実感するくらいだが、何かしようとしている人物は何もできなくなるか、黙って部屋から出ていく。どういった仕組みになっているのか首を傾げつつ、ヒイはいつも通りの仕事をする。
こうなると根競べだ。時節、ケインが冒険者ギルドの窓口から心配そうに見てくるが、気付かない振りをしている。
ヒイは鑑定でよく見たので、商業ギルドの問題と影響が近づいてくるのが感じられた。
ニカがキキラーティカから二刀流を含め、戦い方を習っていた時に、衝撃的な言葉が飛び出した。それは冒険者の連携について聞いていた時だった。
「ええ!!ユガリさんと組んでたの?」
テレーズもニカ同様、驚いている。
「なんだい?言ってなかったかい?」
「聞いてないよ!もしかして、ズウゾさんと三人で組んでたの?」
しれっと言い出したキキラーティカが続ける。
「いや、四人さ。ズウゾと、フレーズも」
「お祖母ちゃんも!?」
「ああ。あんたも聞いてなかったのかい。そうだよ。ユガリは・・・、あれはどうなっているんだろうね。人では無いのは確かだろうさ。気にしたことは無いけどね。あいつが魔法で、ズウザは防御、フレーズは器用だから色々やったね。私は遊撃さ」
「なるほど。いいバランスですね」
「フレーズが結婚して商売を始めるって冒険者を辞めて、潮時だから解散したのさ」
「へー」
「お祖母ちゃんがきっかけだったんですか・・・」
「ふん。気にするなって言っても、フレーズは気にしただろうけどね。あたしたちの中では、誰が言い出しても可笑しくは無かったと思っているんだよ。その証拠に全員、ここに定住しているだろう?」
「ええ。そうですね。仲良しで、気が合うんですね。好きというか好むものも似ていたから、フレーズさんが商売を始めた街で皆さんも」
「そうさ」
キキラーティカの言葉にテレーズがほっとしたような、嬉しそうな顔をする。きっと、テレーズが祖母のフレーズにこの言葉を伝えるだろう。四人がまた仲良く一緒にいる姿を見ることも近そうだ。




