54.習う
「フランー!!明日から卵焼き用フライパンの作る練習できるよ!」
家に帰って来るなり、ミハがフランへ声を掛けに行く。
「フランさんって、卵焼き用フライパンを作りたかったの?」
「そうみたいだよ。身近な調理器具で、見たことなかったのと、ヒイちゃんが作ったのが決め手みたいだよ」
「え?」
「調理器具を作る人がいるってことを知ったんだ。今まで調理を身近で見たこと無かったようだから」
「そっか。興味があるってことはいいことだね」
翌日からフランは鍛冶を習いに行くことになり、慣れるまではミハとエルディランドゥが付いて行くことになった。その、初日。フランは元気よくズウザに挨拶し、自己紹介。
「フランです。よろしくお願いします」
「ズウザだ。フライパンから作りたいって?」
「はい!卵焼き用の四角いフライパンが作りたいんです!!」
目を輝かせて告げるフラン。ヒイからただのフライパンではなく、どういった用途で使うのかの説明をして、作り方を教わってくるようにと言われたのだ。しっかり、そこを守る。
ズウゾが聞きなれない言葉にどういうことだと問い返す。
「なんだって!?四角いフライパンだぁ?」
「そうなんです。ちょっと、調理場まで一緒に来て下さい」
「ああ?」
鍛冶場を作るついでに一緒に作った居住部分の台所というか、宿舎の調理場のような場所までズウゾを引っ張って来たミハがそこで準備してきた材料で卵焼きを作って見せる。
「なんじゃこりゃ。このためだけのフライパンなのか!それにしても、なんで巻く必要があるんだ?」
「美味しいからです」
「ああん?」
「どうぞ、食べてみて下さい」
「うめえな」
「でしょう?」
エルディランドゥもフランも頷きながら、一緒にもぐもぐ口を動かしている。
「で、これを作りてぇと」
「はい!」
「やってみるぞ。俺も四角いのは作ったことがねぇ」
「やったー!!」
フランが大喜びして、ズウゾの後について鍛冶場で作業に入っていく。
「おい」
ミハが必死に目を逸らす。エルディランドゥは凄い鍛冶場に目が釘付けで、聞いていない。
「おい!」
ズウゾの呼び掛けにミハが逸らしていた視線を、呼びかけられた原因へと向ける。
「ちょっと、信じられないくらい力、出るんですよ!」
「ちょっとか!!」
金属を鍛えるための、金属製の金槌を折るというよりも粉砕したフラン。びっくりして固まってしまっている。どうやら張り切り過ぎて、力を籠めすぎてしまったらしい。
すっかり意気消沈してしまったフランへ、ズウゾが指示を飛ばす。
「おい。先にハンマーを作るぞ!お前専用の、鍛冶ハンマーだ!」
「・・・はい!」
まだ、鍛冶を習えるとフランが慌てて顔を上げて返事をする。
「材料は、あのねぇちゃんが置いってったのが沢山ある。丈夫な奴、作るぞ!気合、入れてけ」
「はい!!」




