46.押し掛け
押し掛け治療を決行した四人は勿論、キキラーティカに怒られた。
「いいかい。練習というから実験台になったんだよ。完治させる力があると分かってやるのは違うんだよ!」
「ごめんなさいー。でも、体、楽になったでしょう!!」
ニカはミハに全権委任だ。
「そりゃあ、あれだけ高位の魔法をかけて貰えば、古傷だって傷まないさ!」
「え?古傷も痛かったの!?大丈夫?」
「お陰様でね。本当に、こんな簡単にやるなんざ。気を付けな!あんたたちの力を利用しようとする輩が沢山いるんだよ!!分かっているのかい!!」
「?キキラーティカさんはしないでしょ。だから、こうやって叱ってくれるし」
「お婆ちゃん治った?」
キキラーティカの心配し過ぎの説教の風向きが変わったのに気が付いたのか、ちょっと離れていたアキが近づいてきた。
「だいじょうぶだとおもいますよ。おげんきそうですし」
トオは穏やかに微笑んでいる。魔法かけた当人は、キキラーティカが元気になって良かったなーと暢気なものだった。そこへニカが場を収めに入る。
「まあまあ。痛みが取れて良かった。練習に付き合って頂いてありがとうございました。ギルドを通しての依頼は今まで通り、いつでもどうぞ」
「・・・まったく。あんたたちが練習と言い張るなら、そうしておくがね。・・・もう一つ治療の練習を引き受けてくれないかい?」
思ってもみないキキラーティカの言葉に本人以外が顔を見合わせた。
「珍しいですね」
「あんたたち、鍛冶師を探しているんだろ?」
「どうしてそれを?」
ニカが少し警戒して対応する。
「ふん。フレーズとは昔馴染みでね。あんた、あそこの孫娘と結婚したんだろう?」
「はい。フレーズさんのお知り合いでしたか」
ニカの納得た様子に、大きく嘆息したキキラーティカが続ける。
「そうさ。今は、ただの飲んだくれの爺になっちまった奴がいてね」
「その人も怪我?」
ミハが心配そうに聞く。
「ああ。あいつが後れをとるとはね。何があったかも言いやしない」
「心配だね」
「はん。そんなことある訳ないだろ。鍛冶馬鹿のあいつの目を覚ましに行ってやるのさ。付いてくるだろう?」
「勿論」
キキラーティカの挑戦に、ニカが好戦的に笑い答える。トオには事後承諾というか、その場にいるので即座に了解を貰った。




