43.悩む
悩むのはフランだった。
「私ね、私・・・」
「うん。フランさんはね。怪力が付いているから、それを活かそうと思っているけど、どう?」
「私が力持ちなのはそのせい?」
思ってもみない事を言われてフランが瞳を瞬かせる。
「要因の一つだね。先祖返りもあるみたい。身体頑強で力を手で発揮しても、足でも怪我をすることは無いよ」
「それはいいこと?」
「とてもね。力を発揮できるだけの身体を持っていることで、皆、安心してフランさんの身体を使った冒険者の道を応援できるよ」
「!」
自分の力を持て余し気味で、細かい手伝いがなかなかできないことを気にしていたフランはヒイの説明を聞いて、少し自分のことを理解したようだった。朗らかな笑顔が戻る。
「後は魔法を使うか、手、足や道具について助けになるものをつけるといいかも」
「分かったけど・・・、なににしたらいいかな」
「マルクさんはフランさんと冒険に出ることもあるからと、身体強化を付けたよ」
「それなら、私も魔法にする!」
「じゃあ、基礎魔法と魔力上昇にするね」
「はーい」
三人のスキルが決まったところで、マルクとフランに告げる。
「スキルは何時でも付け替えられるから、無理や無茶はしないこと、困ったらすぐに相談すること」
「ああ」
「はい」
二人のいい返事でスキル編成を終えると、早速エルディランドゥに見て貰って色々試しておいでと外へ送り出す。ケイだけはこの場に留まるように目で合図する。
ケイがその意図を汲んで、二人が外へ出るとすかさず尋ねてくる。
「フランは何かに狙われるのか?」
「・・・分からない。一応、隠しておいたから大丈夫なはず。けど、ケイさんには話しておこうと思って」
フラン本人には必要なさそうなので言わなかったが、先祖返りの話題だった。
「神人の先祖返りだから、見た目から勘付かれることはないし、鑑定もよっぽど凄いものじゃないと分からないと思う」
「・・・それが分かるヒイのやばい自覚はあるのか?」
ケイが半眼でヒイを見てくる。
「私は反則的だからね。心配してくれてありがとう。でも、フランさんの戦い方には気を付けてあげて」
「何が一番まずい?」
「拳一つで迷宮破壊とかはまずいね」
「大事じゃないか!」
力が強いとは分かっていたが、最終的にそこまでいくとは思わなかった。迷宮を壊すには通常、最深部に潜る必要がある。外から「えいっ」とやって崩壊する物では決して無い。
「それができちゃいそうなんだよね。だからこその、魔法」
「魔法ならいいのか?」
魔法でも充分に危ないのじゃないかとケイが首を傾げる。
「下手すると使えるのは神力だと思うんだよね。怖いから付けたりはしなかったけど・・・」
「そうだな。それは聞いただけでもやばいな。やたらと派手そうだし」
「多分ね。魔法も慣れれば使えるはずだけど、魔法専門になるには難しいかなというくらいの力量で止まると思う。基本的に神力じゃない力は向いていないみたい」
「安心の位置が怖いな」
「かなりの万能振りだからね。本人にはもう少し道が定まってから伝えようと思うんだけど、ケイさんから言う?」
「いや、ヒイからの方がいいだろ。何で俺が知っているんだってことになるだろうしな」
「フランさんなら、そこは気にしないと思うけど。それなら私から伝えるね」
「頼む」




