39.バランスよく
「ニイちゃん。テレーズさんも冒険者として働くの?」
少し思案顔をしたヒイがテレーズの我儘を引き出そうとしているニカに声を掛ける。
「そのつもりだよ。テレーズもそれでいいって」
「はい」
「どういう戦い方にするの?」
「私が切り込んで、テレーズには補助系を極めて貰おうかと思ってるよ」
テレーズはどうしていいのか分からないので頷くのみだが、同意はとれているようだった。ヒイも頷き返す。
「補助は助かるね。今の所、攻撃、魔法、回復は揃っているから」
「でしょ?」
「バランスいいね。アキちゃんは違った魔法系でしょ?」
ミハがワクワクとした顔で話に加わって来た。
「そう。もう体も大丈夫そうだから、健康の代わりに精霊魔法にしたよ」
「へー。どんなことができるの?」
「精霊の力が届く範囲なら何でもできるみたいだよ」
「アキちゃんに言っておく?」
あまりの万能ぶりにニカが心配する。ミハもその凄さに顔が引きつる。
「トオさんがその辺りは上手くやってくれているから大丈夫」
「「良かった」」
「テレーズさんは補助魔法と攻撃反射、防御強固とどうする?」
「完全防御と攻撃反射は一緒に付けられないんだよね?」
ニカが確認する。
「そう。完全防御にしてもいいけど、冒険者として触感も大事かなって」
「確かにね」
「テレーズさんだから商売繁盛とかにする?」
強要する事は無いが、迷うと必ずお金系を薦めてくるヒイに、ニカは相変わらずだなと思いつつ。
「テレーズは何かある?」
「希望したスキルが付けられるんですか?」
ニカの問い掛けに、テレーズが半信半疑と言った感じで尋ねてくる。
「そうだよ。ヒイちゃんの特技だね」
「・・・特技」
理解が追い付いていない様子のテレーズが呆然と繰り返す。ミハもエルディランドゥの信じられない様子を思い出し、気の毒そうにテレーズを見守る。ニカは後で、二人でゆっくり話そうと決め、最初の案でと返す。
「とりあえず、商売繁盛にして、また考えようかな」
「分かった」
ヒイが気軽に請け負い。テレーズのスキルは補助魔法、攻撃反射、防御強固、商売繁盛となった。




