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38.我儘を言ってみよう

 最後に家に入ったニカはめでたくテレーズを連れて帰ってきていた。


「「「「「「「「「「おめでとう!!」」」」」」」」」」


 テレーズはすっかり照れてしまって真っ赤で声も出ないが、嬉しそうだ。一方のニカは余裕で祝福を受け取り、何だか微妙な顔に戻ったケイに問い掛ける。


「ケイはどうしたの?」


 答えられないケイに変わって、やはりクロを付けたままのヒイが答える。


「今日のお客さんが個性的で衝撃を受けているだけだと思うよ」

「へー。ケイが珍しいね」

「自分の見せ方が似ているからかもね」


 何気なく言ったヒイの言葉にケイが猛然と首を横に振り、否定する。


「おい!一緒にするなよ。違うからな!!」


 言い捨てて部屋戻ってしまうケイに苦笑して、全員で晩御飯の準備に入る。気まずげな顔をして戻ってきて手伝ったケイも一緒に食事を終えると、自然とニカとテレーズの家の話になった。


「ヒイちゃん、洋風建築に挑戦してみない?」

「石造りってこと?」

「石と木かな」

「まあ、試してみてもいいけど。テレーズさんの希望は?」

「私は、ニカさんに任せます」


 しっかりした返事だが、ミハから突っ込みが入る。


「テレーズさんも主張していかないと、どんどん我儘言っていいんだよ」

「え。その」


 慌てたように周りを見るが、全員が頷きつつ、子供たちは今日の成果を楽しそうに見せあっていてエルディランドゥもそちらに混ざっている。主張があまり得意ではないことは自覚しており、それをニカたちが心配してくれているのも分かっていた。そんなテレーズの心の内に気が付いたニカが援護をしてくれる。


「ミハ。テレーズは慣れていないんだから。無理を言わない」

「え?我儘が無理なの?我慢してない?したいことや、やりたいことはどんどん言って貰った方が安心するよ。それに言えば叶うことも多いし、誰かが助けるよ。心配しないで、どーんとやっちゃって!」


 胸を張って主張するミハ。


「まあね。ニイちゃんがテレーズさんの我儘引き出せたら家を建てましょう」


 ヒイが宣言する。テレーズは焦るばかりだが、ニカがにやりと笑って受けて立った。


「腕が鳴るねー」


 ミハは藪蛇だったかと首を竦めたが、まあ仲良くしているようだしいいかとあっさり方向転換し、自分たちの家にも新しい施設を作ってもらおうかと画策を始めたのだった。

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