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異世界で四季を満喫  作者:


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32/200

32.近づく

 ニカの仕事の日を知っていたのか、冒険者ギルドへ戻るニカにテレーズが勢いよく頭を下げた。


「あの、ありがとうございます。祖母から聞きました」

「体調とかは大丈夫?」

「はい。お陰様で。私、テレーズと申します。本当にありがとうございました」

「いえいえ。ほとんど、姉がやってくれたから、お礼は伝えておくね。私はニカです」


 ニカは良かった、良かったとにっこり笑った。テレーズの頬は綺麗な桃色だ。


「それで、お礼なんですが。祖母と相談して紙にまとめてきました」

「わあ。ありがとう。助かります」

「こんなことで良かったんでしょうか?」

「勿論。あ、もし良かったらこれから仲良くしてくれると更に嬉しいです。お得情報の追加も随時受け付けています」


 おどけたように言うニカに、テレーズは緊張が解けたのか思わずと言った感じで笑みがこぼれる。


「こちらこそ、喜んで」


 ニカがそっと追加で伝える。


「お守りで防げるけど、相手は諦めていないようだから、気を付けてね」

「はい」

「じゃあ、またね」


 テレーズが軽く頭を下げ、ニカが手を振って別れる。

 テレーズと入れ違うように仕事終わりのヒイとクロがやって来た。


「可愛い子だね」

「ホントにね」

「ニイちゃん、守りに行きたいなら、お祖母ちゃんの説得からだよ」

「勿論。ちょっと考えるね。呪っている方はまだ猶予はあるよね」


 ニカの確認にヒイが虚空を見つめつつ答える。


「テレーズさんと急速に近づかないようにすれば大丈夫。まさか、ニイちゃんの女性問題とは」

「いや、私の問題じゃないよね。そんなに愛想、振りまいているつもりはないし・・・」

「男の人になっているからねー。それに、ニイちゃんのようなタイプは珍しいんだと思うよ。相手は女性になるから、やりすぎには気を付けて」


 女性の考え方に寄り添えて、優しく穏やかな年頃の男性というのは、そんなに沢山いるものではないらしい。それは、双方の主張があるので、議論するのは避けることにしようと考えつつニカは言う。


「まあ、それは程々で考える」

「そうだね。応援するから、頑張って。呪い返しも作っておくよ」

「ヒイちゃんが一番怖いよね」

「失礼な」


 そんな軽口を叩きながらの帰り道で、徐々に対応が決まって行く。


「うーん。私が呪い返しを持って、テレーズさんと仲良くするのが一番効くよね」

「呪い返しの範囲は広めにしておくね」

「助かる」


 この二人の会話は誰にも聞かれていなかったが、ケイがいたら突っ込んでいたに違いない。何故、被害を大きくすると。きっと、ヒイは言われたらこう答えただろう。


「しっかり呪ったのは一人だけど、誰もがそうなる可能性が高かったからね。鑑定で見て広範囲に呪い返しをしても問題無いというか、その方が良さそうだったから」

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