30.適度に休む
朝から、ミハが嬉しそうに皆に言って回る。
「結婚したよー」
「おはようございます。おめでとうございます」
トオから丁寧なお祝いの言葉を貰い。子供達からは何を今更と言った感じで、返事を貰う。
「ああ。そうなんだ。おめでとっ」
「へー。おめでとう」
「おめでとう!」
「うん。おめでとう」
「ミハちゃん、おめでとう!」
「クー」
「クロくんもありがと」
ミハとは対照的に、エルディランドゥは恥ずかしさから手で顔を覆ってしまっている。
「ミハちゃん、家はどんな感じにするのー?」
「え?本当にあなたが建てるのか?」
エルディランドゥが思わず問い掛ける。ミハの姉で、文字の師匠でもあり、色々物を作るとは知っていたが、家まで建てられるとは思わなかったのだ。
「そうですよ。エルディランドゥさんも希望があれば、どんどん言って下さい。後から直すこともできますから、お気軽に」
「あ、ああ・・・」
「お姉ちゃん、お風呂広くして、ロフト作って!」
「頭、ぶつけない?」
「気を付けるー!」
ミハはるんるんだ。
「じゃあ、明日のお休みの日に建てるから、手伝ってね。今日もいつも通りに皆、気を付けてね。行ってきます」
「クー」
「「「「「「「「いってらっしゃい」」」」」」」
最近の日常となりつつある、ヒイがクロを抱いて一足先に出発する。二人以外が弁当を作り、昼前に売りに行く。その後、ニカが冒険者として働く日と、ミハとエルディランドゥこと、エルの二人が働く日が交互にある。勿論、休みも設けるようにした。明日はその休みだ。まだ、探り、探り生活しているので、休みは五日働いて一日としている。いずれはもう少し休みたいとも考えている所だった。
ニカが冒険者をする日は指名依頼を受けていない日でも、たまにキキラーティカの所へ弁当を届けに行っている。何となく、気が合うのだ。ミハも行っているようだが、毎日顔を出すと仕事をしているのか心配されるので、程々にしている。
そんなニカが冒険者として仕事が終わったある日のヒイ、クロと一緒の帰り道だった。
「ニカさーん」
年頃の少女たちから黄色い声が飛ぶ。優しく、少女たちのことを理解してくれるニカは大人気で、最近は街を歩いていると声を掛けられるまでになっていた。ニカも買い物の時におまけしてもらえる時もあるので、手を振るくらいはお安い御用だった。
そんな中、一人の少女テレーズだけがそっぽを向いて離れていく。眉はしかめられ、口はへの字になってしまっている。綺麗な顔立ちの少女なので、不機嫌さが際立っていたから、更に目立っていた。
ニカに寄って来ていた少女たちは口々に、テレーズの態度を非難するが、ヒイとニカの印象は違っていた。ニカの人気や側に寄れる少女たちへの嫉妬ではなく、何かを堪えるように足早に立ち去っただけに見えたのだ。
ニカがやんわりと少女たちの輪に解散を促し、素早くヒイに声を掛ける。
「ヒイちゃん」
「うん。見てる」




