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28.売れました

 早速、作った弁当を自分達で食べる。弁当はヒイが鑑定で探し出した抗菌作用がある葉っぱに、塩結びと卵焼き、唐揚げが二つずつ入っている。勿論、葉は錬金術で出した。それを紐で十字に縛る。この辺りの迷宮ならば半日は持ち歩いても傷んだりしない仕様となっている。

 そんな美味しいお弁当を前にしながらもしょぼくれているケイ、マルク、フラン、ポンドがいた。


「みなさん、うまくできていますよ」


 トオが言う。


「いや、ほとんどトオが作ったよ」


 呆れたように言うのは塩結びを握ったケイだ。


「俺、上手く巻けなかった・・・」

「私は洗っただけ」

「ぼ、俺はきちんと切れた!」

「私も並べたよ」


 アキだけはお手伝いの腕に自信満々だ。


「うんうん。皆、よくできてたよ。ねえ、エルディランドゥさん?」

「ああ。俺にはこんなこと、とてもできない。素晴らしいな」


 ニカがエルディランドゥに無言で、褒めろと視線を送る。ミハが無茶を言うなと念を送るが、綺麗にかわされる。そして、エルディランドゥは務めを果たした。


「やったー!」


 マルクは騎士に憧れがあるのか、エルディランドゥの姿を見てから興奮しっぱなしだ。フランも満更では無さそうで、ポンドも嬉しそうだ。反対に、アキは不服そうだ。まだまだできると主張している。

 とりあえずお弁当を五十個持ち、売り歩きに迷宮へ出発した。


「お弁当どうですかー?」


 ミハが迷宮に入る冒険者たちへ声を掛ける。


「べんとう?」

「ええ。お昼の食事です。こんな感じで、味見どうですか?」

「食っていいのか?」

「はい。お試で、無料です」

「へー。おお!!旨いな。なんだこれ!」


 ヒイが見慣れない食べ物だろうから、味見を持って行った方がいいと言っていたのだが、その通りだった。一人が食べると、次から次へと一人一つだと言い続け、味見を配った。その横でニカと子供たちが連携して弁当を売っていく。エルディランドゥは睨みを効かせる。


「あっという間だったね」

「本当だね」

「やったぜ!」

「「「「わーい」」」」

「うりきれましたね」

「凄いな」


 九人で驚きながら、ささっと帰る。子供達は売り切れたことに喜びながら跳ね回って帰り道を進み、ニカとミハは明日の弁当の数を相談中だ。エルディランドゥはそれを穏やかな面持ちで眺めている。


「明日は倍でも行けるかな?」

「まあ、無駄にはならないから、百でやってみようか」

「そうしよー」



「ただいまー」

「「「「「「「「「おかえりー」」」」」」」」」

「クー」

「お邪魔させてもらっている」

「エルディランドゥさん、泊まっていったらどうですか?」


 ヒイのその言葉に誰もが嬉しそうだ。すっかり皆に好かれているエルディランドゥは困ったように告げる。


「知らない人間をそう簡単に家に泊めてはいけない。誰か、一人でも人質に取られたら、動けなくなるだろう?」

「エルディランドゥさん。気にしすぎだよ。それに、お姉ちゃんが大丈夫って言ったら、大抵は平気だよ。そうじゃなかったら、家にまで案内してこないよ」

「そうだね、ミハ」

「だが・・・」

「仕事は暫くお休みできるのでしょう?泊って行った方が長く書く練習ができますし、子供達も喜びます。ねー?」

「「「「「うん」」」」」


 断り切れなかったエルディランドゥは有り難いと申し出を受け、泊まっていった。家の設備に心底驚いた事はエルディランドゥの名誉の為に伏せておこう。

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