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26.お願い

「あれ?エルディランドゥさん!」


 冒険者ギルドに顔を出した騎士服のエルディランドゥに、早速会えたとミハが嬉しそうだ。


「ミハさん。先生は?」

「先生?お姉ちゃんのこと?」

「ああ。指導して頂いたので、先生と呼ばせて頂こうと」


 何故、ヒイを呼んで欲しいのか疑問に持ちながらも、ミハが周りを確認している。


「お姉ちゃんは、来た来た」

「ミハちゃんどうしたの?エルディランドゥさんも」

「大変恐縮なのですが、先生にお願いできればと思いまして」

「何をでしょう?」

「文字の指導です」


 エルディランドゥの言葉に首を傾げたヒイが、不思議そうに告げる。


「名前以外もということですか?」

「はい。私の名前を見た団の者達が大変驚きまして、是非とも他の文字もまともなものにしてもらえと・・・。勿論、費用はお支払いさせて頂きます。如何でしょうか?」

「お教えするのは構わないのですが、エルディランドゥさんはお仕事との兼ね合いはどうなっていらっしゃるんでしょうか?」

「仕事はいくら休んでも構わないと言われています」

「それは、エルディランドゥさん的には大丈夫なの?」


 ミハが仕事に支障はないのかと、エルディランドゥ自身の気持ちを聞いている。ヒイも同意する。


「私は読める字を書けるようになれたらと、常々思っておりましたので特に問題はありません」

「そうですか。準備の時間も頂きたいので、明日からまずは三日間習いに来て頂いて、進捗状況を見て延長したり、短縮するということでどうでしょう?」

「はい。それで構いません。報酬はいかがいたしましょうか?」

「金銭ではなく、労働で払って頂いてもいいですか?」


 エルディランドゥは安請け合い出来ないと口にする。ミハはヒイの素早い返しに、その後ろで更に驚いていた。


「労働の種類にもよりますが・・・」

「迷宮にお昼を売りに行きたいので、その行き帰りと販売中の護衛をお願いしたいのですが」

「それでしたら、構いません」

「お昼以外を文字の練習に充てさせて頂きます」

「了解いたしました。明日から、よろしくお願いいたします」

「こちらこそ。明日、冒険者ギルドでお待ちしています」

「はい。失礼いたします」


 エルディランドゥは今、決まったことを騎士団へと伝えに言ったのだろう。


「ミハちゃん。聞いてのとおりだよ。色々、よろしくね!」

「え?お姉ちゃん・・・」

「エルディランドゥさんの書き方の先生はミハちゃんだよ」

「ええ~~!!なんで?どうして?」

「なんでもなにも、ミハちゃんしかいないでしょう?昨日エルディランドゥさんを見守ってくれてたのもミハちゃんだし、ニイちゃんはお弁当の作成指導をしてもらわないといけないからさ」

「そう、そうだけど・・・」

「はい。今日の仕事もどんどん進めていくよ」


 そうして、午前の個別指導ではどんなに書いても銅色にしかならなかったので、ヒイが代わりに書き、銀色にした。午後は銀色が一人出ただけだったが、書き方教室は着実に浸透しているようだった。

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