23.仕事の説明をします
朝食を食べるために子供たちの方の家に移動する。作りはほぼ一緒だが、危険を考えて、開けていない部屋もある。
「ケイさん、マルクさん、フランさん、ポンドさんにはここで勉強と仕事をしてもらいたいの」
「なにを?」
「料理をしてもらいます」
「!!俺たち、やったことないぞ」
「ない」
「うん」
「なーい」
四人の合唱となった。それに笑いながらヒイが答える。
「大丈夫。トオさんから聞いたけど、きちんと文字の練習できたでしょう?」
「言い聞かせたからな」
「流石、ケイさん。その指導力をこれからもよろしく。仕事は、もう少しこちらも準備があるので、まず、四人にはミハちゃんから体を綺麗に保つ方法と、元気になれるような食事の仕方を学んでもらいます」
「だから、勉強を先に言ったのか。俺たちはもう、街に戻れないのか?」
いきなり街から連れ出されたので、落ち着いて考えられるようになって、段々と心配になってきたのだろう。
「何か、心残りがある?」
「・・・いや」
「なにか、思い出したんだったら、言ってくれれば連れて行ってあげられるけど、頻繁には難しいよ。これから、やりたいことできたら、働いたお金でギルドに登録して、街に出入りしてくれても大丈夫だけど、それだけの力を付けることが条件だよ」
「それなら、いい」
「さて、他に質問は?」
「ない」
他の三人は食べるのに忙しく、仕事の話も、質問も半分以上聞いていない。ニカとミハとトオが食事を詰め込み過ぎる、子供たちを止めたり、咽た背中をさすったり、水分を取らせたりと忙しい。
ミハとトオが子供たちと留守番で、ヒイはクロが付いて商業ギルドから書き方教室へ、ニカもほぼ一緒だ。冒険者ギルドへ行った時に、解体後の獲物を提出する時だけが、違う所だ。血抜きをすると、ニカがまだ練習は必要だが、無事に解体できた。
街に入り、いつもと違う道を進み、商業ギルドの近くまで来てヒイの足が止まった。足元を歩いていたクロが見上げ、ニカもそれに気付き振り返る。
二人の視線を集めたヒイはあっさり言った。
「ニイちゃん、商業ギルド止めようと思う」
「いいよ。なにかあった?」
「ケイさんに過剰防衛しようとした人が、入っていったの」
ヒイはかなり硬い表情だ。
「他にも、見えた?」
「あまり良い組織じゃなさそう」
「了解。じゃあ、個人で知り合いに売る感じ?」
また、何か見ているのか、ヒイが少し遠くを見る。
「うん。そうする。後は、迷宮の近くや中で売るとか?」
「それもありだね。私たちが売り子なら、そう心配もないね」
「また、ケインさんに相談だ」
「じゃあ、冒険者ギルドへ」
ケインのいる受付の前に並び、ニカが捌いた獲物を出し、了承を貰ったと同時にヒイが勢い込んで訊ねる。胸には少し大きくなったようなクロを抱いて。
「迷宮の中や周囲で商売してもいいですか?」
「あ、はい。許可は特に必要ありません。あまり推奨はされませんが」
「結構、揉めますか?」
「そうですね。その取引を見ている者がいない中でとなると、双方の主張のみとなりますので」
ケインはなるべくならば問題になりそうなことをしてほしくは無いのだろうが、禁止されてはいないと教えてくれる。
「それなら、ダンジョンに入る前に食料を売ったらいいかな?」
「中が分かるようにするなり、多くの人の目に触れるような形にして、売ればいいかも」
「商業ギルドは・・・」
ケインの問い掛けが尻窄む。
「個人的に売ることにしました。冒険者ギルドに登録料を払ったので、商売はもう少し考えてから行います」
「そうでしたか。分かりました。書き方教室は引き続き行って頂けるんですよね?」
ケインは色々聞きたいことを飲み込み、冒険者ギルドの利になることだけをお願いした。商業ギルドはたまに不穏な点が聞こえてくるため、紹介するかどうか迷ったが、管轄は商業ギルドなためそれを伝えない訳にはいかず、また同じギルドとして不確かな悪いと思われる情報を進んで伝えられなかったのだ。そのため、冒険者ギルドで自分ができることは惜しまないと決めていた。
「ええ。まだ人は集まりにくいですが」
「そうですね。様子見の方が多いようで・・・」
「今日は、これを下げて呼び込みしてみます」
「おお! それは、いいですね。では、よろしくお願いします」
「はい」




