196.あっちもこっちも
「お姉ちゃん」「お姉ちゃん」
アキとヨツが大興奮で、ヒイの周りを回っている。
「目が回っちゃうよ」
ヒイが声を掛けるも、二人はどんな動物が良いか話し合っていて聞いていない。
「ふわふわ?」
「もこもこ?」
「さらさら~」
「つるつるー」
二人が目を回す前に、ニカが一気に抱き上げる。
「決まった?」
「「まだー」」
二人はきゃっきゃっと笑って、未定であることを伝える。
「ニイちゃん、力持ちー!」
「「ミハちゃん」」
「ミハは決まったの?」
ミハは深刻な顔をして、告げる。
「まだ」
「お母さんは?」
「まだまだ」
ムウも考えて唸り続けている。
「うーん。むーん」
そこへ話題を変えるように、ニカが乗れる動物の出現のさせ方を聞いた。
「ヒイちゃんはどんな方法を取るか決めたの?」
「ああ。ニイちゃんは決まったの?」
「ふっ。まだ」
恰好を付けたはいいが、ニカもまだ迷っているらしい。
「皆、考えながら作ったら?」
「「「「「え?」」」」」
「修正、効くよ。一回、作って終わりじゃないから大丈夫」
全員が飛び上がって喜び、まずは手のひらサイズの乗れる動物を考えることとなった。
「という事は、これを大きくして動いたり意思を持たせたりするの?」
「それも出来るし、こんな感じで大きな動物になって欲しいって、お願いしても気に入ればなってくれると思うよ」
気に入るという言葉に、そういう存在がいるらしいという事で、アキとヨツがキョロキョロしている。
「精霊さん?」
「精霊さんかもしれないし、違う存在かもしれない」
「そうなの?」
「幽霊?」
「マッサージ樹のような不思議な生物かもね」
ヒイが笑ってヨツにも答えて、二人に動物を作ってみるように促している。