186.何でも
「アキちゃん、ヨッちゃん、用事があったんじゃないの?」
「そうなの。ヤッくんのスキル見て!」
ヨツがヤグロの背を押し、ぐいぐいとヒイに近付ける。
「ええっと。ヤグロ君。見てもいい?」
「お願いします」
見守るアキとヨツの方が真剣だ。ヒイは一番に目に入った、秋四の伴侶という項目に釘付けだ。結婚式だ衣装だとアキとヨツが盛り上がっていたが、早くも達成されそうな気配に驚いていた。ちらりとヨツを見る。泰の伴侶とある。アキとトオも見る。それぞれが伴侶になっている。
「わぁ」
「「なに? 凄い? 強いのあった?」」
「うん。それもあるけどね。ヤグロ君はヨッちゃんと仲良し。アキちゃんとトオさんも仲良し」
「「うん」」
当然のようにアキとヨツが頷き、トオが続く。
「うれしいです」
「ええっと、仲はいいです。あの、能力はどうですか?」
「今の所は補助と支援に特化していますね」
「補助」
「支援」
アキとヨツの不思議そうな顔と、ヤグロの分かっていたような諦めたような寂し気な顔が対照的だった。
「どーんとか」
「ばーんは?」
「ヤグロ君もアキちゃんやヨッちゃんが言うように、自分の体や力を使った特性を伸ばしますか?」
ヒイの問い掛けにヤグロの顔が輝く。助ける事だって悪くは無いが、自分も精一杯色々やってみたい。
「何が、できますか!?」
「何でも」
「「「何でも!!!」」」
三人が盛り上がり。トオが微笑ましく見守っている。
「きっと四人で行動することも多くなるだろうから、どうしたい? 何をする?」
ヒイの魅力的な問い掛けに、わくわくは最高潮だ。
「「「冒険!!!」」」
仲良く、三人が唱和する。予測が出来た答えにヒイが笑って、更に詳しく聞いていく。
「まず、トオさんは回復をしてくれるよね?」
「うん」
「はい」
アキとトオが答え、ヨツとヤグロがうんうんと頷いている。
「何処で何をするのが冒険になるの?」
「ダンジョン?」
「ダンジョンで何をするの?」
「宝探し!」
「じゃあ宝物を探すにはどうする?」
「「うーん・・・」」
「レーダーで探す」
ヤグロの答えに、アキとヨツが感心している。
「三人とも探す?」
「僕が探します」
「じゃあヤグロ君に探知能力だね。アキちゃんとヨッちゃんは何するの?」