176.遊び尽くす
「あら? 皆、つやぴかね」
帰っていたムウに、四人が声を掛けられる。ルグヤも不思議そうにヤグロの顔を見て、手を伸ばした。むにっ。
「すごーい。これー、どうなってるの?」
ルグヤの頬を触る手を逃れるように、ヤグロが口を開いた。
「マッサージ樹です」
「なーに。それ、なーに?」
「ルグヤさんもやってみますか?」
結局、全員でまたマッサージ樹の部屋に行くことにした。
生活の糧の模索が全然進んでいない様子に、ミハが心配そうにヒイに問い掛けた。
「大丈夫?」
「別にお金に困っていないから大丈夫だよ。ミハちゃんも率先して楽しんでいたでしょう?」
マッサージ樹を堪能し、パックを試し、お札で遊び尽くしていた。
「ばれた? お母さん、お札で折り紙、するんだもん」
「火の鳥ー」
「水龍!」
アキとヨツが、それぞれ折り紙を手に走り回っている。
「アキちゃん、ヨッちゃん、お札を使う時は外の専用の場所で。お父さんも!」
「「はい」」
「はいっ」
ミハもうずうずしだすと、混ざり始めた。
「手裏剣も作ろうよ!」
「「ミハちゃん、舟も」」
「お母さんは?」
「「くす玉、折ってるー」」
仲良くハモるアキとヨツを父と一緒にミハが外に連れ出した。まさか火のお札で鶴を折ったら、燃えずに飛ぶとは思わなかったのだ。子供達は大喜びで、父も瞳を輝かせて紙飛行機も折りだしたりして、お札が足りなくなる程だった。
ヒイがムウの所へ来ると、紙を折っているのはムウとヤグロだけで、ルグヤはお札を様々な角度から観察していた。
「ヤグロ君、ここ、組み合わせるね」
「はい。こちらも追加しておきます」
二人は着々と大きなくす玉を作っている。これは光るくす玉を作る予定のようだ。
「好きねー。でもー不思議。これーどうなっているの?」
「何か分かりました?」
「ぜーんぜん。まだーまだ知らないことがあるなんていいわー」
ルグヤは自分が知らない、解明できないことが殊の外嬉しく、無理に解き明かそうとは考えていないようだった。