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171.抱っこ

「沢山の素敵な方と知り合えたのね。ヒイちゃんの結婚相手はクロ君だって聞いたけど」

「母さん」


 イツが取りあえず声を掛ける。直球で聞いて良いのか、迷った末だった。それを一蹴される。


「あなた。あなたのお母さんじゃないから、その呼び方は困るわ」

「そ、そうか。む、ムムムウ」


 両親のやりとりをさらっと流して、情報を追加する。


「そうだよ。結婚相手のクロ君です。人型もとれるよ」

「そうなの! 抱っこしていい?」

「かあ、ムムウ」


 イツが頑張る。ヒイと結婚できる男性に抱っこして良いかの問い掛けは、失礼じゃないかと心配したのだ。


「クロ君。お母さんに渡して良い?」

「クー」

「はい。良いって」

「クロ君。ありがとう。わぁ。ふわふわ。素敵ねー。可愛いわー」

「クウ」

「あら。格好良いだったわね。ふふふー」

「・・・ムウ」


 イツは子犬を抱いているようにしか見えないムウの自然さという衝撃に、さっと名前も出てくるようになった。


「あなたも抱かせて貰うといいわよ。もふもふよ」

「い、いいのか?」

「クー」

「良いって」

「では、失礼して。わ。いい。凄くかわ、格好良い」


 クロが満足気に腕の中に納まっている。ヒイも嬉しそうだ。家族仲が良くて何よりである。


「あー! 私もっ!」

「あ、アキも!」

「ヨッちゃんも!」


 騒がし三人組がやって来たので、クロは慌ててヒイの腕の中へ退避した。ヒイの両親だから抱かれることも了承したが、子供達は承服しかねる。


「ヤグロさんは置いてきちゃったの? あのね、クロ君は親と伴侶にしか抱っこの許可は出せないよ」

「「「ええー!!!」」」

「今度、ぬいぐるみを作ってみようかと思っているから、それを抱きしめてみて」

「「「はーい」」」

「もうそろそろお昼の時間だから、ヤグロさんも呼んで来て」

「「ヤッくーん」」


 ミハ、アキ、ヨツが顔を見合わせる。ヒイがこう言ったら覆らない。少し不満そうだが、ぬいぐるみで了承し、いきなり放っておいてしまったヤグロを呼びに行く。

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