170.結婚
「ええー!!!」
「な、そ、そんな、早くないか? 早いだろ? ええっ?」
「エルーこっち! 紹介するから。結婚してくれたエルディランドゥだよ」
ミハがエルディランドゥの腕を抱いて、連れて来て紹介する。
「素敵。騎士みたいね」
「お母さん、分かってるー。そうなの。騎士なんだよ」
「初めまして、ミハと結婚しましたエルディランドゥです」
すっと騎士の礼をとる。その格好良さにミハとムウは盛り上がる。
「こんな格好良いなんて・・・。しっかり、挨拶も出来るし、ミハの我儘も受け止める。素晴らしい・・・何を言えばいいんだ・・・」
イツは打ちひしがれた。更に追い打ちがかかる。
「ふう、じゃなかった、ニカちゃんのお相手の方は見たけど、ヒイちゃんの結婚相手は?」
「あそこにいるよ。クロくん」
「子犬に見えるんだが・・・」
「お父さん、違うよ。子狼だよ」
「そうか。狼か・・・」
イツの苦悩は続く。
「まあ。抱っこさせて貰えるかしら?」
「うーん。どうだろ。お姉ちゃんに聞いてみて」
「そうね。そうするわ。あなた、早速、聞きに行くわよ」
「あ、ああ・・・」
ミハの元を離れて、ムウが色々飲み込めていないイツを引きずっていく。それをヒイが迎える。
「お父さん、お母さん、丁度良かった。こちら、ケイさんとマロウさん。こちらの常識とかを教わっているの」
「・・・どうも」
「よろしく」
「? お二人はご夫婦?」
「ち、ちがっ。何を!」
「未だその関係では無いのです」
「応援しています!」
流石ミハの母親というべき順応具合と、話の食い付き方だ。ケイは驚きで言葉も無く、マロウは苦笑しつつ求愛していると正直に告げ、恋愛話が好きなムウを狂喜乱舞させていた。
「こちらはケイさんのきょうだいのマルクさん、フランさん、ポンドさん。料理人と鍛冶師と商人をされているんだよ」
「こんにちは」
「フランです」
「何か入用の際は何時でもどうぞ」
ポンドの成長具合にケイとマルクがぎょっとする。フランはにこにこ嬉し気だ。