167.それぞれ
外でお願いしていたヒイ、ニカ、ミハ、アキ、クロ、トオとフラン、リガル、ケイ、マロウ、エルディランドゥが、五樹、六実、ナナ、泰と落ち着いて話をしようと家に入る。テレーズは体調不良と、何があるか分からないので、祖母のフレーズの所に泊まっている。
「驚いたー。アキちゃん、分裂できるんだ」
「凄いでしょ」
「えへへ」
ミハの言葉に胸を張るアキと照れる秋四。ケイはそんな簡単なことかと疑問を持つが、賢明にも口を噤む。
「お父さん、お母さん。こっちに来ちゃって良かったの?」
「あ、ああ。二か。ああ、相談してたしな。大丈夫だ」
「まあ。本当に男の人になっているのね。不思議ねー」
「うん。そう。今はニカって名乗ってる」
両親と話すニカは一番の懸念事項を訊ねている。
一方のヒイは、両親と何故か一緒にこちらに来たナナへ問い掛けていた。
「ナナさんはユガリさん、リガルさんとご親戚ですか?」
「あらー。分かるの? そうよー」
ナナの答えにリガルが何かを思い出したように慎重に口を開いた。
「もしかして、輪から旅立ったと言われているルグヤ?」
「まあー。当たり。ユガリの子、あなた、伴侶を得たのね。こちらではールグヤって呼んでね」
「はい。得難い人を。とても素敵な人です。フラン」
「こんにちは。リガルさんと結婚したフランです」
フランは自然にリガルに腰を抱かれ引き寄せられ、ルグヤと呼ぶように告げたナナに挨拶をする。リガルの親戚挨拶旅行に出掛けたので慣れたものだ。
「うん? 待て。フラン、何時の間に結婚してたんだ?」
「え? あれ? 言ってなかったけ?」
ケイは聞き捨てならない事態に、ヒイ達と両親の再開の場だったが構わず皆を集める。
「集合ー!」
「何?」
「なに?」
「どうしたの?」
「フランが結婚してたって知ってたか?」
「リガルさん。ちょっと」
ケイの言葉に即座に反応した、ヒイの呼び出しだ。おろおろしているフランをケイに預け、リガルだけをクロを抱いて連れて行く。