165.待って
「ただいまー!」
婚前旅行のような新婚旅行兼親族の顔見せ旅行に行ってきたフランが帰って来た。
「お帰りなさい」
「楽しかった?」
「どうだった?」
「おう」
「フランー!」
ヒイ、ニカ、ミハ、ケイ、アキで言葉が返る。
「うん。すっごく楽しかった! それでね、お土産ー!」
満面の笑みで後ろに立っていたリガルと一緒に、大量のお土産を差し出した。ヒイがフランに渡していた無限収納の鞄から、出しても出しても止まらないお土産の量に、全員が唖然とした。
「フラン。ちょっと、待て。これ、何でもかんでも一緒くたに入れるとこうなるって、言ってあっただろ」
「だって、色々あったんだよ。見たことないものばっかり。あ、お金は大丈夫」
リガル以外はそうだろうなと思う。何せ、領主を務めフランに不自由させないと豪語した人物だ。資金は潤沢だろう。リガルはそんなフランを可愛くて仕方が無いという風に見つめている。
「それなら、いいけどよ。これは誰にやるんだ? 同じものはまとめろ」
ケイが量に諦めたように指示を出す。全員で仕分けるのに、半日以上かかった。
「いっぱい。フラン、ありがとー!」
アキの笑顔で締めくくられた。
「どういたしましてー!」
「マルク君とポンド君、サラナサさんとかにも後日、渡して回ろうね。あと、フランさんにお願いしたいことがあるんだけど、いいかな?」
「いいよー」
ヒイが提案し、フランが喜びつつ軽く請け合う。
「そんなに簡単に・・・」
「え? 難しいこと?」
ケイがその返事に言葉を濁し、フランが首を傾げる。
「簡単! アキとお願いしてくれれば大丈夫!」
「それなら、平気! 何をお願いすればいい?」
「お父さんとお母さんにっもが」
「はい。アキちゃん。ちょっと待ってね。もう少し、考えてからね」
「ニイちゃんありがとう。そうなの。二人でお願いしてくれれば良いのだけど、お願い事はもうちょっと考えないと、上手くいかないかもしれないから、もう少し待ってね」
フランとアキを慌ててニカが止めるのを有り難がりながら、ヒイは思案した。