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156.逃げられない

 先程の交渉騒ぎが嘘のように静かになった部屋とヒイ、ニカの様子にモックの不安が頭を擡げる。


「なんだ?」

「モックさん。ルドッセさんの詳細をお伝えしておきます」

「お、おう」

「モックさんの意思に関わらず、ルドッセさんからは逃れられません」

「・・・」

「あ? 彼女に好意を持っていた? それなら、安心だね」


 無言のモックに、ニカが希望的観測を告げる。


「モックさん?」


 あまりの反応の無さに、ヒイが声を掛けるが、モックは何の表情も浮かべずに佇んでいる。


「ありゃ。大丈夫じゃなさそうだね」

「どうしよう? 綺麗な人だったよね」

「好みはあると思うけど、整った人だったよ」

「・・・っは」

「気が付いた?」

「え? 立ったまま気絶しちゃってた? トオさん呼ぶ?」


 モックは拒否したがる意識を、何とかヒイの言葉に持って行こうとする。


「・・・大丈夫だと思いたい。それで、なんだって、そんなことに」

「しっかり」


 ニカが完全に他人事な励ましをする中、ヒイの言葉が続く。


「ええっと。彼女は狙った獲物は逃さない凄腕の商人です」

「ああ。それは人にも適用されるんだ。狩人みたいな謳い文句だね」

「そう。めでたく見初められたのがモックさんです」

「逃げ」

「無理です。残念ながら、彼女はモックさんより全ての力が上回っています」

「力・・・」


 モックは単語さえ言えないでいる。


「力って、腕力とか?」

「純粋な筋力からくる力と、財力、人脈とかもね」

「金・・・、人・・・」


 全てを上回られ、逃げ道を絶たれたモックは理解したくない思いでいっぱいだ。


「モックさんが上回っているのって、穏やかさとか逃げられそうにないものばっかりだね」

「素晴らしい特質なんですが、相手が悪かったですね。でも、ルドッセさんに興味はありますよね?」


 ヒイの問い掛けに、意外そうな顔をしたニカもモックを見る。


「・・・褒めて貰ったしなー」

「やっぱり」

「人がいいなー。知ってたけど」


 ヒイの確信とニカの微苦笑が続く。

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