151.呼び出し
「モックさん。緊急って聞いたんですけど・・・」
ヒイが皆を連れて、モックの家に向かうとモーリンが飛び出てきた。
「ヒイさん! お兄ちゃんが!」
モーリンの言葉に一気に緊張感を高める面々。
「モ、モーリン・・・。落ち着け。緊急は緊急だが、モックは無事だ」
「ああ。身体はな」
カールとジョンがモーリンの後を追って出てくる。
「体は?」
ニカが聞き返す。
「ああ」
「あれはヤベェ。俺たちじゃあ、無理だ。頼んだ」
ヒイ達が来た事を見届け、そそくさと帰ってしまう二人。それをモーリンが憤慨している。
「もうっ。大変なのに!」
「それで、どうしたの?」
ヒイがモーリンを落ち着けるように尋ねる。
「お兄ちゃんに、変な女の人が!」
「え? まさかの、女性問題?」
ミハが尤もな事を言う。妹を大切にしていて、村で働いているモックに女性問題が起きるとは考えづらい。
「ヤバいのって、もしかしてヒイさんが言っていた、商売人か!」
ケイの閃きに、ヒイが反応する。
「多分、そうだよ。思ったよりも早かったね。でも、そんなに凄い人なの? モーリンさん」
「・・・はい」
全員恐々、モックの元へ。近付くにつれ、女性が質問する声のみが聞こえてくる。
「一方的だな」
「モックさん、いるの?」
ニカの感想に、ミハが疑問を呈す。
「あの調子でずっと。お兄ちゃん、口を挟む暇も無くって・・・」
「でも、質問しているんだよね?」
「質問したいのか、近付きたいのか」
ポツリと言ったヒイの言葉に、サラナサも何か見えるのか表情が固い。
「モックさん狙いなの? 見る目あるけど・・・」
「・・・」
ミハの言葉に、モーリンは態度と表情でお断りを表している。
「実際に話してみないと。でも、モックさんには呼ばれただけなんだよね」
「ヒイちゃん、私が話そうか?」
「それがいいかも。お願い出来る?」
モックに呼ばれたとはいえ、女性が話し掛け、反感を買うと困るのでニカが話すことになった。