表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/200

150.怖い

「面白い!」

「お姉ちゃん。私のお肌プルツヤじゃない?」

「なってるね。その方向で良いけど、呼吸の仕方は要検討だね」


 揃って顔を上げた二人の充分に楽しんだ顔に、ヒイも笑って答える。マッサージ樹の大体の使い方を検証したので、サラナサが代表して、モックのいる村に持って行く。


「これは、植物。これは植物」


 サラナサが唱えるように、水分を含ませていないマッサージ樹のふわふわを毟っている。


「サラナサ、そっちの方が怖くないか?」


 同様に梳る様にふわふわを採取しているケイ。


「あ! なに! そんな方法あるの?」


 毟るよりも気持ちの抵抗が少ない方法を取っているケイに、詰め寄るサラナサ。


「・・・ああ。ヒイさんが、穏便な方法って。痛覚がある訳でも無いし、すぐ戻るから大丈夫だって言ってたけどよ」


 サラナサの鬼気迫る毟り具合と、穏便な方法を見て詰め寄ってくる様に、引きながら答えるケイ。


「ううう。そうだけど、毟るのはなんか・・・」

「ほれ、櫛。モックの所でこれも、作っているんだろ?」

「そう。これはマッサージ樹用?」

「いや、髪の毛用を専用にしたってさ」

「そうだよね。頼む暇は無かったもんね」


 サラナサが返事をし、二人は暫し無言で櫛を動かし、マッサージ樹のふわふわを集める。


「和紙って丈夫だな」

「そうなの。色々使える紙を作れるなんて思ってもみなかったから、嬉しい」

「白い顔型はビビるけど」

「息をしようと思ったら、仕方が無いよ」


 二人は白いお面のような形の和紙に、マッサージ樹のふわふわを並べ、同じ和紙で挟んで水を掛ける。


「効果はあるよな」

「ビックリした。あの冒険者ギルドの人達の効果」

「おっさんたちがテカテカじゃなくて、プルツヤだもんな」

「周りの女性陣の反応が凄まじかったね」

「ああ。あれで、売れたな。ポンドの笑いが止まらなかったぜ」

「店でも売っているんでしょう?」

「そっちも、飛ぶように売れているってよ」


 二人は手を動かしつつ、美容と商売の怖さを語る。


「でもよ、ヒイさんが言ってた商売人はポンドじゃないよな?」

「多分ね。勿論、ポンドにも売って貰うつもりはあったと思うよ」

「それよりヤバい商売人か」

「私達は作るのみよ」

「だな」


 二人は静かに頷きあって、更に作業の手を速めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=943722646&size=88
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ