148.水を
ミハの思い付きでヒイが考えている。
「アキちゃん!?」
素っ頓狂なミハの呼び掛けが響く。アキはいつの間にか手にした如雨露で水をあげていた。勿論、マッサージ樹に。
「お水~」
「わっ。プルプルになってる! え? どういうこと? ふわふわがプルプルになるの? ええ!」
ミハが水を掛けられ、綿毛のような見た目から、つるりとした水饅頭のようになったマッサージ機に驚いている。早速、触ってみている所が流石だが、不思議植物に感嘆しきりだ。
「凄いね」
「うおっ。なんだ、これ。水は零れたりしないのか?」
サラナサが眺めたり、ケイは手に持ってみたりと各々が堪能している。
「アキちゃん、如雨露はどうしたの?」
ヒイは別の事が気になったようで、アキに問い掛けている。アキの体の大きさにぴったりで、小さ目の軽そうな如雨露だ。
「フランが作ってくれた! 仕舞ってたの」
「そうだったんだ」
如雨露の出処は分かったが、どうして作ってくれたのかは、アキがプルプルマッサージ樹を触りに行ってしまい分からず仕舞いだ。それを一旦置き、ミハが口を開く。
「フラン、新婚旅行楽しんでいるかなー?」
「そんなんじゃないだろ?」
ケイが答え、ニカが更に疑問を呈す。
「どうだろう?」
「領主のお母さんの一族に会いに行ったんだよね?」
サラナサも加わる。フランを心配しているケイが聞く。
「サラナサは視たのか?」
「私じゃとてもじゃないけど、何も視えないよ」
「どういう人達かは、兎も角。まだ結婚していないけど、結婚するようだし、新婚旅行じゃない? ケイもまあ、認めているんでしょう?」
「悪い奴ではなさそうだ。フランには優しいしな」
「うん。フラン、リガルさんと話している時とか嬉しそうだし」
「ああ。話すのが楽しいってよ」
ケイは三人に、良かったじゃないかと返された。