147.表面
「美人ってなんなんだろうな・・・」
珍しく黄昏ているようなケイにマロウがそっと頭にマッサージ樹を載せる。
「っおい」
「似合っているぞ」
「・・・なあ、あんたは面の皮、一枚で変わるか?」
「ふむ。変わることもあろう。お主も、化粧している輩が苦手であろう? あれも、皮一枚と言うか、粉や液体だ」
「ああー・・・。確かにな。そっか。そんなもんだな」
一気に吹っ切り、また真面目にマッサージ樹の可能性を探る、ケイ。
ミハがすすすっと、マロウへ寄って行く。
「良かったの?」
「なんと?」
「うん。時期を見るだね」
ミハは一人分かったように頷いて、ケイを真似てマッサージ樹を頭に載せて去って行く。
そのままミハも実験という名の遊びを始める。
「あ~」
ミハが出した声を真似ているのか、微かに音がする。
「おっ。エル、見て見て!」
「ミハ?」
「あ~。一緒に歌ってない?」
「そう言われてみれば・・・」
「よし。アキちゃん、トオさん、クロくんも聞いてー」
ミハが耳の良さそうな面々に披露しに行く。
「あ~。どう? どう?」
「ミハちゃん、沢山、載せて」
アキが楽しそうにわさっとミハの頭に載せる。
「落ちてない? 大丈夫?」
「うん。くっ付いてる」
「へー。いっくよー。あ~」
「あ~」
「「「!!!」」」
アキ、トオ、クロが目を真ん丸にしている。
「やったー! でも、これ、何に使えるかな?」
何故かミハが首を傾げても、わさっとしたマッサージ樹は載ったままだ。ミハがそっと歩いてヒイに有効活用を聞く。
「うーん。合唱か、姿勢に気を付けて歩く練習?」
「えー。他は?」
「ミハも、自分で考えなきゃ。でも、危険な使い道なら、ハウリング攻撃か、超音波・・・」
「ニイちゃん、それ、美容系にあるよね」
「あるね」
「よし、お姉ちゃん、それに絞ってお願いします」