146.美容
「美容系で製品にするかな?」
「びよう?」
ケイが初めて聞いた言葉のように繰り返す。ミハがそれに反応する。
「あー。ケイは元々、美人だから必要ないかもね」
「なんだそれ?」
サラナサはそれで察したようで、少し考えこんでいる。
「サラナサさん、どうしたの?」
「難しそうだなって」
製品も売り方も難しい事を、いち早く気が付いたサラナサに、ヒイが贅沢な要望を告げる。
「そうなんだよね。善良で美容系に興味のある商人さんいないかな?」
「お姉ちゃんが、人探しをやってみれば良いんじゃない?」
「そうだね。駄目元でやってみようかな」
ミハの思い付きにヒイがやる気を出す。
「美容系の商品を売る事に適した、善良な商人さんは・・・っと・・・」
全員が、注目する。
「「いたっ!?」」
ミハとアキが身を乗り出して尋ねてくる。
「・・・いたかも。でも、まだちょっと遠いかな」
「遠いの?」
アキが願いを口に出しそうだったので、ヒイが人差し指を口に持って行く事でそっと止める。
「マッサージ樹を作っていればその内、近付いて来てくれるよ」
「そうなの?」
「じゃあ考えながら、待っていよう、アキちゃん」
「うん」
ミハとアキの二人はさっと切り替えると、どんなマッサージ樹が良いか相談を始める。
「遠いって、どういう意味で言ったの?」
ニカがヒイだけにそっと聞く。
「ばれた? ちょっと先。そう、遠くない未来だね」
「へー。そんな事まで見えるんだ」
「今回はね」
それ以外は内緒だと言うようにヒイはニカに、にっこり笑って見せた。