145.どんどん
「この間、強制的にぶるぶるした時に思ったんだけどさー。太っている人っていないの?」
ミハが唐突に口にする。
「生活に余裕があれば、太るけどそう見ないだろうね」
ヒイがマッサージ樹をじっと見つめながら答える。ニカが呆れたように言った。
「ミハも懲りないねー。痩せたいの?」
「いや、こっちに来てからそれほどでもないよ。エルもそのままの私が一番って言ってくれてるし」
惚気を混ぜてくるミハにニカも負けていない。
「確かにテレーズはどんなテレーズも素敵だし、今、この一瞬で常に美しさを更新しているよ」
「ニカさん・・・」
照れて真っ赤になった頬に嬉しそうに唇を寄せるニカ。
「ニカちゃん、程々に」
ヒイが横目で教育的指導を入れる。未成年も多いので。節度は大事です。
「はーい。それで、分かったの?」
「難しいよ」
「どういう所が?」
「条件の派生が多すぎるから、目的が決まっていなくて漠然と調べようとすると大変」
様々な事柄が調べれば調べる程、出てくるので嬉しい悲鳴だ。
「へー。マッサージとか痩身系で行く?」
「気持ち良いからね」
「クッションも作って! って無理か!」
ミハが自ら要望して、却下している。
「なんで?」
袋に詰める所を見ていないニカが聞いてくる。
「ニイちゃん、どんどん入るんだよ!」
話を聞いていたらしい、マッサージを堪能していたアキが身振り手振りで凄さを伝える。本人的には衝撃的だったらしい。
「そうなんだ。そんなに入るんだねー」
「でも、潰れないのっ」
「うんうん。それで、開けて見ちゃったんだね」
「えへ」
ニカに最初に家中にマッサージ樹を植えてしまったことを言われて、アキは笑って誤魔化した。