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129.恰好

「ねえ、ニイちゃん。マロウさんに袴とか履いて貰えないかなー」

「似合いそうだけど、ケイに許可を貰ってからの方が良いよ」

「え? あの二人、そういう関係?」


 ニカが呆れを含んだ視線をミハに向ける。二人は一通り札を使いつくし、場所を譲って休憩中だ。そこでミハは熱心に札の使い方を模索しているマロウに目を付けた。全員が札の数と種類と使い勝手の良さに感心しきりだ。

 サラナサは鑑定で見なくても、確信していた。札の使い易さと魔法の強力さはヒイだからだと。札は自分でも書いてみたいが、魔法陣も描いてみたいのだ。その魔法陣の勉強は中々進んでいなかった。

 手に持った札を見て固まっているサラナサにヒイが声を掛ける。


「サラナサさん、お札も書いてみる?」

「え?」

「魔法陣の気分転換に、ちょっと行き詰っているかなって。お札は魔法陣程、厳密さを必要としないから。読んでいるだけじゃあ楽しくないでしょう? 手も動かして、色々やってみよう」

「うん。やる!」


 嬉しそうに頷いたサラナサにヒイがもう一人、真剣にお札を見ているマロウも誘う。


「マロウさんも一緒に如何ですか?」

「私もか?」

「無理にとは言いませんが」

「マロウもやってみれば?」

「ケイさんもやる?」

「あー。俺もやるか。文字の練習にもなるだろうし、カードを単独で金色にしたいからな」


 意欲を見せた三人が札に取り掛かることになり、ミハが嬉しそうに寄ってきた。


「いいね。沢山、できるね。これ、何処まで出来るの?」

「どこまで?」


 サラナサが首を傾げ、ヒイが推測したことを口にする。


「私が書くからだと思うんだけど、漢字の熟語は大丈夫。文章はどうだろう。こちらの言葉で書いたらどうなるかは未知数かも」

「そうだよね。文字は一種類だもんね。お姉ちゃん、平仮名でもやる?」

「色々試してみようかな。魔力籠めればいけるかもね」

「うん。うん」

「ミハちゃんも書く?」

「いや。陰陽師の道を探るから、ちょっと忙しいんだー」

「あ、そうなの。頑張って」


 わくわくしているミハはヒイにこそっと囁いた。


「マロウさん中々良い線、行っていると思うんだけど。それでね、袴とか作ってみて」

「格好から入るねー。良いよ。時間がある時に揃えておいてあげるけど、着るならこの辺りでだけだよ」

「分かったー。ありがと。お姉ちゃん、好き」


 ヒイはちゃっかり者の妹に呆れながらも、職業の可能性を無限大に広げていることに感心した。

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