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127.使う

 それぞれが透明な壁の中で、思い思いの札を使っている。札は四属性を基本に、漢字の単語や、熟語を元に書かれている。


「お姉ちゃん、やっていい?」

「いいよ。気を付けてね」

「はーい」


 アキはヒイが許可を出すなり、トオと一緒に透明な部屋に入る。二人で頭を突き合わせて何からやるか相談している。一番をアキに譲ったミハが続く。


「お姉ちゃーん。私もっ」

「好きなのどうぞ」


 ずらっと並べられた札を示され、ミハがふと思い当たる。


「漢字だよね。他の人はどうするの?」

「鉛筆で訳を書いておいたから。できますよ。エルディランドゥさん」

「良かったね。エル。はいっ!」


 読めないまま使うと危険なので、訳が書いてある親切仕様だ。遠慮して一、二枚しか試さないと思われるエルディランドゥに、ヒイが声を掛け、ミハがどんとまとめて札を渡す。

そこにテレーズを伴ったニカが、札を持ちつつ聞いてきた。


「雰囲気で喜んじゃっていたけどさ、ヒイちゃん、そもそもどうやって使うの?」

「あっ。説明してなかったね」


 五人で慌ててアキを見ると、感覚的に理解していたのか、発動を成功させている。


「アキちゃん、凄い!」

「感覚派だねー」

「良かった。大丈夫そうで。危険なものは無いはずだけど、組み合わせで相乗効果もあるから気を付けてね」

「分かった。使い方もね。テレーズ。私達もあっちで試してみよう」


 ミハはテレーズの腰を抱いて歩き去ったニカを見送ると、ヒイに問い掛けた。


「アキちゃんには言わなくていいの?」

「トオさんが一緒だから大丈夫だよ。それに、この透明な壁は札が発動すると、人との間に展開されるようになっているから」

「そうなの。それなら安心だね。だから、お姉ちゃんも説明無しで送り出したりしたんだねー」

「それもあるけど、使い方分かってそうだったから、説明を省いたんだけど?」

「え?」

「扇みたいにしてアキちゃんと遊んでいたでしょう?」

「うん」


 ミハは何も分かっていない顔で同意する。


「うん。分かっていないのは、分かったよ。てっきり鑑定に付け替えて見たんだと思ってた」

「まっさかー。忘れてた。それもできたね」


 笑って誤魔化すミハに、呆れながらヒイが札の使い方を説明する。


「そうだよ。まあ、いいけど。札は使う札を意識して、書かれている単語を唱えれば発動するよ」

「エルでも?」


 ヒイ達四人は日本語を話しているつもりだが、問題なく言葉は通じている。冒険者ギルドのカードが何語で書かれていても文字を読める人なら誰もが読めるようになっているのと一緒だった。だからこそのミハの疑問だ。


「同じような意味を持っていれば可能みたいだよ」

「へー。エル。これ、やってみて」


 ミハが半信半疑でエルディランドゥに炎の札を渡す。


「ああ。『炎』」


 無事にボッと札が燃えるように発動する。


「できたっ! どうなっているの・・・?・・・かはどうでもいいか・・・」

「そうだね。難しいと思うよ」

「よし!」


 ミハもエルディランドゥと楽しむようだ。

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