126.札
ミハが得意満面で手札を扇状に広げる。
「ふははははは」
流石のケイも、サラナサもミハから距離を取り、遠巻きだ。
「ミハ、何してるの?」
「おはようございます」
ニカが通り掛かり上、仕方が無く声を掛ける。テレーズはミハの怪しさを気にせず、朝の挨拶だ。意外と肝が据わっている。
「ニイちゃん、良くぞ聞いてくれました! お姉ちゃんが作ってくれたの!!」
「あー! ミハちゃん、いいな! アキもっ」
続く言葉はトオが口を塞ぐ。
「のぞみをくちにするのはしょうしょうきけんです」
「はーい。ありがと」
瓜二つだった二人は少しだけ違いが出てきた顔を見合わせ、笑いあう。
「え? 危険だったの? 大丈夫?」
一人暢気なミハが確認しつつ、アキにもヒイ作成の札を渡す。喜び回るアキにミハが加わり、ぐるぐるしながら興奮を高めていってしまう。
「はーい!! 落ち着いて。お札で遊ぶのは、朝食の後。一旦、回収します」
「「ええー」」
「二人とも?」
騒ぎまわる二人を瞬く間に静めたヒイは、朝食を告げた。
「ヒイちゃん、いつの間に作ったの? 作れたの?」
「やってみたら出来たんだよね。筆と和紙が良かったみたい」
「お姉ちゃん、飛ばせる?」
「うーん。それはどうかな」
「お姉ちゃん、アキも」
しっかり学習したアキが明言を避け、希望を告げる。
「アキちゃん、格好いい使い方、検証しよう!」
「うん」
「ヒイちゃん、何処で試せるの?」
「ニイちゃんもやるの?」
「面白そうだからね」
「場所は後で作っておくよ。透明な個室みたいにしようかな? お互い見れた方が良いんだよね?」
「「「勿論!」」」
賢く口を噤んでいた者達も、安全に試せると分かれば興味が出る。全員が、冒険するかどうかはさておき、好奇心は旺盛だった。