118.どんどん
変身する腕時計を見たミハが駆け込んでくるなり、ヒイに提案していた。また、ケイが頭を抱える姿が目に浮かぶようだ。
「お姉ちゃん、靴も作るんでしょう?」
「あれ? ニイちゃんに聞いた?」
「うん。飛べるようにしたい!」
魔法使いと言えば箒で飛ぶということをミハが試みないはずは無い。
「箒で飛ぶのは駄目だったの?」
「やってみたけど、いまいちだった・・・」
「靴で飛ぶのも難しいと思うよ」
「やっぱり?」
「安定感がね」
そのまま二人で相談を始める。ミハは飛んでみたいと訴える。その横ではアキがトオに変身を見せている。トオは飽きることなく、拍手を送っている。
「乗り物で飛ぶのは良いの?」
「できれば、身体一つで飛んでみたいの」
「浮くだけじゃ駄目でしょう?」
「びゅーんと飛びたい」
生身で飛べるアキとトオが、今度は家の中で空中追いかけっこを始めていた。
「羨ましい・・・」
「アキちゃん。飛ぶなら外で! トオさんも一緒です」
「はーい」
「はい」
少し怒られた二人は素直に外で遊ぶことにしたようだ。ヒイは少し考え、ミハに提案した。
「アキちゃん達のように翼みたいな物を背負えばいけるかも?」
「本当!?」
「やってみるよ。ついでに足型取らせて貰っても良い?」
「いいよー。やっちゃって」
ヒイが二つに分けられる粘土のような物が入った木型を用意し、それでミハの足首から下を挟み込む。
「うっひゃぁ」
「え? 痛かった?」
「く、くすぐったいのと。うにょっと変な感じする」
「ああ。それは次にやる人に言っておいた方がいいね。それか、自分でやって貰った方が良いいかな? ミハちゃん、もう片方の足は自分でやってみて」
「よし! うっひゃあ」
「自分でやっても声出てるね。まあ、型には影響ないし良いか」
「もう、お姉ちゃん。本当にくすぐったいんだよ!」
「ごめん、ごめん。ミハちゃん、これ、エルディランドゥさんにもお願いしておいて」
「分かったー」
ミハは早速、型を二つ持ちエルディランドゥの元へ駆けていく。