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「クロ君。早速、取り掛かろうと思うの」


 ヒイの声を聞いたクロが前足をちょんと出す。


「時計なら自分だけで出来そうだから、作ってみるね。まずは時計だけ、だけかー。けど、懐中時計だったら、持ち歩くし折角だから何か他の機能も付けたいよね?」


 独り言のようなヒイの言葉が続く。常識人のケイが聞いたら、すぐさま止めただろうが、クロは自分とヒイが関係すること以外は全肯定だ。普通の時計でも充分過ぎる。だが、二人だけなのでどんどん進んでいく。


「時計を作ってみたかったんだー。楽しみ。まずは見本を」


 錬金術の恩恵を多大に受けながら、ヒイの時計作りは誰にも止められず進んでいく。


「時間が分かりやすいのが一番だよね」

「くー」


 盤面は数字のみで分かり易い物になった。


「時計はもっと凝った物はまた今度ね。あとは、自分の靴だったら作れそうだね。クロ君のも作ろうか」

「ああ」


 あっという間に人型を取ると、落ち着いた返事が聞こえる。その姿に慣れている感じを伺わせるヒイはにっこり笑うと、材料を準備していく。


「革。木型はいるかな?」

「靴を作っている所は始めて見る」

「私もしっかり見たことは無いから、探り探りになりそう」

「ヒイならすぐ物にしそうだ」

「ありがと」


 ヒイは靴底に悩む。同じように革にしようとも思ったが、靴底が真っ平だと滑りそうだ。


「ゴムにしようかな」

「ゴム?」

「滑りにくくなるし、軽いし、加工しやすいよ。家では輪ゴムをよく使っているね」

「輪ゴム。便利」

「ゴム長靴も作っちゃおうかな」

「?」


 どんな靴か分からなかったのかクロが首を傾げると、ヒイが説明する。


「雨の時に・・・そっか。靴に防水機能を付ければ、わざわざ長靴じゃなくてもいいのか!」

「閃いた?」

「うん。色々盛り込めば一足で良さそう。でも、お洒落なニイちゃんは色々欲しがるだろうから、それはそれで」

「皆、喜ぶ」


 靴もまた機能がてんこ盛りになりそうだ。止める者が不在のまま靴作りも進んでいく。


「防水と、防臭と、通気性も欲しいよね。あと、防菌も大事」


 ヒイが重苦しく言うので、クロも神妙に頷く。クロはあまり靴を履く機会も無いので賛同のみだ。

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