表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/200

112.ぎゅっ

 賑やかに帰ってきたミハはフラン達に顔を見せる。ミハの後ろにいるエルディランドゥに視線を送るマロウ。何かに気が付いたエルディランドゥはマロウの方を一切見ない。二人の無言の我慢比べが続く中、朗らかに会話が進む。アキとトオはヒイ達と住んでいる自分の家に戻っていていない。ケイは自宅ながら気配を消している。


「今日も沢山、売れたよー。フランはいちゃいちゃできた?」

「いちゃいちゃ?」

「私達のように仲良くお話することですよ」


 聞いたことが無い言葉をリガルが微笑えんでフランへ解説する。その微笑みだけで苦いお茶が飲めそうだ。


「マロウさん凄いね」


 ミハは二人の様子に一緒に残されたマロウへ話を振る。無言の応酬を一時中断し、口を開く。


「慣れている」

「え? そうなの? マロウさんの周りはラブラブな人が多いんだね」


 マロウの最大限の抵抗は、ミハにいなしているという意識も無しに流された。マロウの周りは非常に仲の良い夫婦が多いと遠回しに言ったのだが、通じなかった。


「ラブラブ?」

「私達のように仲良く寄り添うことですよ」


 また知らない言葉をリガルが慈愛に満ちた瞳で解説する。ケイが痒そうに身じろいだ。その動きに気が付いたフランの視線がマロウとケイの間を行ったり来たりする。


「慣れているの? 私、見たこと無いよ」

「フラン、何のこと?」

「すっごい仲良しに慣れているんだったら、もっと皆と、とってもいちゃいちゃもラブラブもできるでしょう?」

「おお。そういうことか」


 ミハが感心する中、リガルが愉快そうな表情を浮かべる。エルディランドゥは必死に視線を逸らす。ケイはフランの話の展開についていけていない。


「見るのに慣れているだけで、やることに慣れている訳ではないから、難しいと思うが・・・」

「マロウもできるよ! ほら、ここに入って一緒にぎゅぎゅっとすれば仲良しだよ」


 リガルは行動に出たフランの隣を確保し、反対側をぼんやりしていたケイを引っ張り込む。


「え?」

「ケイも一緒に!」


 リガルはマロウとそれほど仲良くしたい訳でも無かったが、フランが喜ぶなら話は別だ。何故だか四人で円陣を組んだような形になっている。

 フランは四人で押したり引いたりしてキャッキャとご機嫌に喜んでいる。


「エル、私達も加わろう?」


 来るだろうと思っていたお誘いに、エルディランドゥは自分の入る場所を覚悟する。


「ミハはフランとケイの間に」

「分かったー! まーぜーてっ!」


 エルディランドゥは無言でリガルとマロウの間に加わった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=943722646&size=88
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ