104.迫る
ヒイに聞きたいことがあり、二人になったニカは問い掛ける。
「ヒイちゃん、色が同じには何か意味があるの?」
「ニイちゃん。気が付いた? フランさんがあそこまで言うからねー。ただ、色に拘りがあるだけならいいなと思ったんだけど・・・」
「あったんだ」
希望を述べたヒイだったが、ユガリ達の秘密に迫るものだった。
「うん。ユガリさん達の分裂は特殊みたいだよ。人数固定で、ほぼお互いのことが分かるらしいよ」
「え? 欠員が出ると誰かが分裂するの?」
「そう。それで、名前も継承するみたい。名前は循環しています。だから、分裂する人は自ずと決まって欠員が出た前の人らしいよ」
そんなに情報を盛り込まないで欲しいとヒイに視線で訴えつつ、更に聞く。ヒイも自分一人で秘めておくには、とんでもないことだらけで少しずつニカに打ち明ける。
「そういった一族というか集団なの?」
「種族という感じもするけど、そんな感じ。驚くよね。流石、神族フランさん。引きが強い」
「フランなら大丈夫でしょう?」
「そうだね。ユガリさん達のことは、あまり見ないことにするよ。世界の深淵は覗くべからず」
ヒイが程々の付き合いが一番だと語る。神様のような人達とほいほい会って、交流することになるとは深く考えたくはない。
「深淵なんだ・・・。それでも、子供は人と遺せるの?」
「大丈夫みたい。滅多にそんな事は起きないようだから、全員と会うことになるかも・・・」
「そっか。分かるんだもんね。興味津々だよね」
「今まで感じたことが無い感覚なのかも。記憶は全て受け継ぐ訳では無いらしいし、一目惚れって言っていたし。大らかなフランさんで良かったよ」
「確かにね。けど、性別ってどうなっているの?」
「特に無いみたいだけど、人の集団に入るからあまり浮かないようにするために、便宜上どっちかに寄せているんじゃない? ニイちゃんに近いかもね」
「そうだよね。分裂して子供ですって紹介するなら、全く同じ人物だと双子のようで困るもんね」
「ご長寿みたいだし、生活の知恵なのかもね。どうやって変えているのかは、知らない方がいいよね」
「全くだね」
ニカが激しく同意して、二人はそれぞれ家に帰って寝ることにした。明日のことは、明日、考える。