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麗しい顔を更に輝かせてリガルがフランに手紙を差し出す。差し出された手紙は厚い紙をくるりと丸めて桃色のリボンで結ばれていた。
「フラン!どうぞ」
「ありがとう!!リガルもどうぞー」
「フランも手紙を書いてくれたんですか!嬉しいです」
感激で一杯にした胸にフランからの手紙を抱くリガル。見慣れない形状の手紙だろうと、フランからもらったものは宝物だ。大事そうにそっと、懐に入れると、今度は素っ気無い感じのただ折りたたまれただけの手紙を一通出した。
「こちらは、ご家族へのお願いの手紙です。フラン?フラン?」
フランは早速、一心不乱に貰った手紙を読み込んでいる。その様子を見て、リガルもとっておきたい思いはあるが、見たことのない紙に書かれたフランの手紙を読み始める。
「私、こんな風に見えているのかな」
リガルのフランを褒め称える手紙を読んで、照れている。
「ええ。今もとても可愛いですよ。鍛冶をしている時は凛々しいですし。フランは髪の色が気になったんですね」
「どうして、リガルとユガリさんの髪の毛の色は全く一緒なの?」
「私のことをよく見て頂けて嬉しいです。これは母の方から説明して貰った方がいいので、今度時間の合う時に魔女の店に行きましょう」
「うん。行ってみたかったんだー」
二人にとってはあっという間の時間が過ぎ、今日の所はこれで分かれた。
次の日にはリガルの手紙の返事がヒイから来ていた。
達筆で、手短だった。
「いいって?」
フランも内容を知らなかったのか、リガルに問い掛ける。
「はい。必ず付き添い同伴で、夜には家まで送り届けるという条件で、お出掛けしてもいいそうです」
「泊まる?」
「ええ!いえ、いや。送ったら帰りますよ。また、次の日に会いに行きます」
「分かった」
リガルの慌てようなんて気にもせずに、フランは素直に頷いた。ズウゾに休みはいつかを聞いている。
「ああー・・・。初回は俺が付き添いか・・・」
憂鬱そうに口にする。ユガリが帰り際に告げた言葉はここに繋がっていたのかと、項垂れる。フランはわくわくとした様子で、ズウゾに返事を強いている。
「明日?明日、休み?」
「まあ、待て。リガル、明日はいいのか?」
「はい。大丈夫です」
こうして、魔女のお店へのお出掛けデートが明日に決まった。ズウゾとリガルは初デートが母親の店というのは、ありなのかという疑問は飲み込んだ。