表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/200

10.どうして異世界に来てしまったのか

 ヒイはニカと寝入った皆を見守りつつ、口を開いた。


「クロウ君のためにきょうだいだってことを示してくれたの?」

「そう、私を一番警戒していたみたいだったから」

「ありがと」

「でも、ヒイちゃんがあんなに早く家族認定するとは思わなかったよ」

「私も、驚いた。一目惚れとかを表現するように、ビビッときたというか、なんか分かったというか。感覚?」

「え?それは凄いね」

「うん。もしかして、これが、私がこっちに来た理由かなって思ったよ」

「へー、それはご馳走様」

「いや、惚気じゃないからね。ただ、私しかいないと思ったというか、呼ばなきゃという思いが強くて」


 お腹いっぱいの無の表情のニカがいた。


 翌朝、ヒイが朝食の準備をしていると続々皆が起きてきた。


「おはよう。お姉ちゃん」

「ミハちゃん、みんなも、おはよう」

「おはよー」

「おはようございます」

「クー」

「クロウ君、可愛い!」


 ミハが構いたくてうずうずしているようだが、黒い子犬のような仔狼のクロウはヒイ一直線で、ヒイしか見ていない。

 朝食を食べ終わり、今日の予定の打ち合わせだ。


「今日はどうするの?」


 ニカが問い掛ける。


「アキちゃんは今日も寝てる?」

「そうみたい」

「そっか、トオさんもアキちゃんと同じように登録するでしょう?クロウ君もする?」


 ミハが「昨日と同じような一日になるのかなー?」と聞いている。トオとクロウは最終目的であるヒイに会えたこと以外は、特に要望は無いらしい。考え込んでいるヒイにニカが提案する。


「私とミハで冒険者の仮登録の書類を追加で2枚貰ってくるよ」

「お願いできる?」

「ねえ、それでこれからみんなでどうするんだっけ?」

「ミハちゃん昨日の話の途中から寝てた?」

「うん。記憶にない」


 ミハが堂々とした笑顔でヒイに答える。


「ミハ~」

「だって、クロウ君が『お姉ちゃんを探し当てて、名前が分かって、トオさんも助かって、みんな家族でやったね!』でしょう?」

「・・・間違ってない」


 呆れたニカへ、ミハが慌てて覚えていることを繋ぎ合わせる。それが、見事に全てを要約していたことに、ニカが苦笑しつつも、感心していた。


「凄いね、ミハちゃん寝ててもほぼ分かってるよ。それで、二人は嬉しいことに私たちの、世界満喫生活に同意してくれました!」


 ヒイが嬉しそうに発表すると、ミハがニカへ囁く。


「ねえ、いつのまに世界満喫生活なんて目標立ってるの?」

「それは、私も初耳」

「なに?二人とも冒険者をしたいっていうのは、そういうことじゃないの?」

「まあ、」


 とニカが曖昧に笑い。


「そういうこと?」


 ミハが疑問形で締めた。


「街へ出入りするにも冒険者登録しておいた方がいいと思って。後は商業ギルドか街に住んで住民登録か、消去法だね。二人が行ってきてくれている間に、正式な登録書類の準備をしておくよ」

「遂に!!」


 ミハが帰ってくるまで、「準備だけで、絶対に始めたりしないでね」と振り返り、何度も言う背中を押すニカと街へ出掛けて行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=943722646&size=88
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ