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百歌合戦

作者: はやまなつお

「百歌合戦をしよう!」


「百歌合戦?百物語ではなくて?」


「百物語は話、それを歌で行う!」


「1曲ずつ歌ってロウソクを消していくとか?」


「そう」


「100曲終わったら妖怪が出るのか?」


「さあ、それはわからない。1人ずつ、5人ぐらいで歌う。

自分の好きな曲を。一人20曲」


「それは多すぎる。もう少し人数を」


「ああ、集めてみる。**の家だ。他の家と離れてる。

 大声出して大丈夫。広い庭も使える」


そして10人が集まった。

昔風の大きい日本家屋。


庭に面した部屋に盆を並べて、ロウソク100本を立てる。

熱と煙が出るので縁側への障子を開けてある。


海が近くて波の音が微かに聞こえて、潮の香りがしている。


一人が庭に出る。

「ではまず私から。シンガーソングダンサーの**です」


「えっ、プロ?」


「いや、趣味。作詞作曲自分で歌って振り付け楽器、は、このウクレレで」


「・・・・・」


「あくまでオリジナルで勝負、人真似はしない!曲はサマータイムキラーズ!

 サマ~タ~イム~♪」


演奏、歌う。奇妙な動き。


「オーディションなら鐘1つだな」「素人レベルだ、素人だけど」

「電波には乗せられない・・・」


ジャーン!と飛び上がって締める。「では続いての曲は」


「え?一人1曲ずつを10周するんじゃ?」


「のってるから続けてやらせてくれないか?」


「まあ成り行き任せで。海も近いし。波に乗るってことでじゃあ」


シンガーソングダンサーは、はっきり言って下手なオリジナル曲をあと9曲披露した。


「ありがとう!武道館のみんな!5階席の人も声援ありがとう~!」

「・・・・・」

「武道館に5階席ってあるのか?」「さあ?」


そして一人目は、まとめて10本ロウソクを消す。


「アバウトだ」「まあいいんじゃないか」「ノリが大事」


「知ってる曲だったら伴奏するから」

「ノートパソコンでカラオケを有料契約してるからほとんどの曲は出せるし」


二人目「では次は僕が。アニメメドレーを。♪足元にからみつく~」


三人目「私はクラシックしか聞かないので。それをオリジナルの歌詞を付けて歌います。曲は・・・」


四人目「ロックで」5人目「シャンソンで」6人目「演歌」、

7人目「戦隊とライダーの曲を。SPD、スペシャルポリスデカレンジャー♪~」


次の人「オペラメドレーを」これはうまい。音域が広い。プロレベル。


次「歌謡曲を」次「ジブリメドレーで」次「日本では知られていないヨーロッパヒットメドレーを」

次「・・・・・」外国語で歌ってる。しかし高いレベル。


「あれ、人数増えてる。100曲越えてるんじゃ?」

「いや、これが本来の宴会、祭り、飲み会、パーティってもんだ。盛り上がる流れは止めちゃいけない」

「まあそうだけども」


ロウソクはあと10個、火が付いた状態。

終わるのが惜しくて歌い終わっても消さずにいるらしい。


酒煙草飲食は、していないが。音楽に酔った催眠状態になってる。

ロウソクの煙で炭素中毒? 仏壇の線香で、ぼうっとする感じ。


ヘッドホン付き歌マイクを装着した小柄な女性が優雅に歌う。

これはプロレベルで初めて聞く曲ばかり。日本語。


次はキタラを弾いて吟遊詩人マリウス(コスプレ)が中原のヒット曲メドレー。

文句なしに、うまい。布施明とエルビス・プレスリーを足した感じ。


女性にはうけるだろう。しかし。これはスキップ(省略)したい。

野郎の曲はちょっと。


「スキップできますよ」


私は、どこかのデラックスな会場の前の方の席に座っていた。広いボックス席。

立体映像の女性秘書が「ではお好みの曲を選んでください」


目の前に立体映像の操作画面。

文字情報で細かく表示、文字を指で触ると、そのサンプルが

圧縮ダウンロードで一瞬で味わえる。大雑把に分かる。


モーニング娘ならぬ「ギャラクシー娘」を選ぶ。


10人の個性的な美女が10曲をステージで歌う。


「ヴァレリアン」での歌姫の場面のよう。


日本人用に映像も翻訳調整されてるような感じ。

ライブで目の前で舞ってる臨場感がきちんとある。


2千年ぐらい先のアマゾンのヴァーチャル配信サービス?


次は・・・自分の好みの歌手、曲調を示して膨大なデータから検索。

使い方がわかる。次をリクエストしようとして。


「YA!」自称シンガーソングダンサーが舞台に出てきた。

悪い予感がした。


歌い始めるが。「カーン!」ボツの合図。

係員らしき2人が出てきて居座ろうとする男を捕まえる。


まずい。チューニングが乱れる。夢だとしてももう少し。

モーツァルトの夢と同じくめったに味わえない感覚のはず・・・


起きると朝になっていた。

ロウソク10本は燃え尽きていた。

寝ていたのは9人。

迷惑っぽいシンガーソングダンサーは、いなかった。

手本は高木淳史「隠された意味に気がつけるか?3分間ミステリー 闇の中の真実」の「百物語」。

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