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OVER END オーバーエンド  作者: 葦(あし)
5/5

北嵐大洋艦隊

前よりも長くなりました!内容も前よりよくなったと思うので是非ご覧下さい!

久々のソーヤ君登場

1

星暦1929年8月7日


「あの船、全く撃ってくる気配がない。」


ライガーは静かに言った。


「撃てば彼らは勝てるのに、、。」


ラーナも彼に同意見だった。相手の行動が不可解だ。


光線を撃つのに時間がかかる?


砲撃を弾いた防御魔法のようなものは健在なのか?これは撃ってみなければ分からない。だが、相手が挑発で撃ってこないだけだとしたら、、?


「あーーーー!!!わかるわけないでしょ!!!」


艦長ともあろう人間の急な駄々に周りは驚く。


「か、艦長?」


「あー、ゲットゲットぉ。」


「艦長、もうすぐワサリラスですよ。」


最もまともな人物ことロドウィンが目的地が近いことを知らせる。


「ワサリラス?本隊は?」


「ここですよぉ」


彼女の疑問に航海長が航海図に指を指す。そこには本隊を指す青い駒がある。


「ワサリラス諸島といば、3つ島があるんだったな?」


ライガーの言う通りだ。ワサリラスは3つの島からなる諸島。3つのうちワサリラス本島は中でも大きく、中央には湾がある。


「まって。艦隊の位置が湾内?」


「どうしたんでぇすかぁ?」


「湾内ってそんな!」


最中、悪夢は始まった。


「あ、。」


光の雨が降り始める。


「あ、。」


ドゴォォォウウーンンン


「あ、。」


鳴り響く引火して何かが粉々になる音。何かが引き裂かれる音。弾けとび、かつてそうだったものに嘆く音。


ありとあらゆる音が青空の下でこだまする。




2


「な、、はじめよりひどい。ひどすぎる。」


「最初よりひどいですよぉ」


各々が感想を述べる。


北嵐大洋艦隊は攻撃を受けていた。かろうじて避けることのできていた光も狭い湾内ではよけられるはずもない。


「どう、、して、、。」


なぜ、提督は湾内に入ったのだ。いや、そもそも。


空中艦隊は来なかったのか?


私の予想は間違っていたのか?


「まさか、提督は無策だったのか?」




3


周囲でありとあらゆる爆発音が鳴っている。


「イアラフェル提督!!!!」


「耐えよ」


「無理です!!このままでは艦隊が壊滅する!!」


周囲の者たちが提督に訴える。


「何か策があって湾内に撤退したのではないのですか!!!!!?」


「空中艦隊はいつ来るんです!!?」


「お前たちは特に具申もせず従っただろうがぁ!!!」


上官を叩かんとする者たちに副官が怒鳴り散らす。


「提督が今まで間違ったことがあるかぁ!!」


「静まれ。待つのだ。」


提督の重い言葉に誰もが従わざるを得なかった。




4


「そんな。もう、本隊は十数隻しか残ってないぞ。いったい、提督は何をお考えなんだ?」


「提督はなにも考えていないのかもしれないな」


ライガーの悲痛な叫びと現実を射ぬくようなロドウィンの言葉が交差する。そんな彼らに対して艦長は言った。


「いくわ。」


「は?」


艦長の突拍子もない発言にライガーは言葉を失う。立派な命令違反だ。だが、それでも


「いくわよ?」


「了解しました。」


彼をはじめ他の者も頷く。


我らは軍人である前に人だ。滅茶苦茶にされる仲間を見捨てるわけにはいかない。


そう、彼らは意思を固めた。


故に彼らは雨の中に足を進め始めた。


彼らの戦いが始まる。


「全艦に告ぐ。本艦はこれより本隊の救援に向かう。これは命令違反だ。いかなる責任も私が負う。」


いつもと違い艦長も意を決したようだった。


人が変わったように艦長は指示をだす。


「敵艦との距離は?」


「22000」


すかさず、オペレーターが返す。


「いいわ。主砲撃ち方用意!目標帝国艦。撃ち方始めぇ!!」


22000mの距離。艦隊は駆逐艦の最大射程である約20km前後から砲撃していた。つまり帝国艦の光は本来我々にも届くはず。



なめられた。



主砲の砲声が鳴り響く。音は艦隊の砲撃音とは少し違う音がした。


彼女は何も無策に砲撃を始めさせたわけではなかった。帝国艦の目をまずこちらに向けさせる。帝国艦はロット・コロルクに気づいていると考えた方がいい。ロット・コロルクは他艦と外見はたしかに違うが、帝国艦は八割方、我々との戦闘を遊びだと思っているはずだ。逃げ回るように攻撃すれば帝国艦が乗ってくる確率は高い。



いける。



ここで驚くべきことが起きる。


砲弾が


帝国艦の透明な壁を


貫いた。


「!!!!!」


「や、やったぞぉぉぉ!!!」


ラーナはぐっと拳を握る。なぜならこの艦の砲撃が効いたからだ。



効いた。


効いたの!?


これが効いたと言うことは駆逐艦ロット・コロルクの主砲は海軍戦艦の主砲より威力が高いと言うこと。実験艦ロット・コロルク。主砲の威力はたしかに聞いていたが、まさかこれほどとは。


砲弾は帝国艦に初めて突き刺さり表面が爆発する。


「回避運動!!!」


彼女が叫んだ瞬間コロルクの周りに光が突き刺さる。


「引き付けたか!?!?」


以前、光の雨は艦隊に降り注いでいる。





5


「ロット・コロルクが砲撃しました!!」


「なに?」


何をしても動じない男が少しだけ動じた。


「!!!!!!!!ロット・コロルクの砲撃が貫通しました!!!!」


「な!それは本当か!!」


副官も吉報に興奮する。


「勝てる!勝てますよ!!提督!!」


「、、。」


提督は少し考え込む。


「おお!!い、いける!!いける!!」


「勝てるぞ!これは勝てる!我々は勝ったんだ!!」


またもや、ロット・コロルクの砲弾が帝国艦に突き刺さった。



そのとき。



雨がロット・コロルクに向けられる。だが、それは単に向けられたわけではない。ロット・コロルクにも向けられたというのが正確だろう。そして、この雨は。



雨は豪雨になった。




6


星暦1929年8月8日


ソーヤは回想を続ける。


あの後、彼は振り回された。そう、赤毛の男だ。謎の超人。本人は西側から来たようなことを喋っていた。とにかく、とんでもない男だ。今、僕は町を案内していた。全く知らない町を、だ


「お前、何も知らないな???ホントにこの町の人間なんだよなぁ??」


ソーヤの不満は爆発する。


「いい加減にしてください!!この町の人間じゃないしこの町のことも知りません!!僕はこの前家出してここに来ただけです!!」


「それ先に言えよ。」


彼の爆発は一言で止められる。


「な!」


「お前、家出してんのか。下らねぇなあ。西側より進んでるとか言ってるやつらも家出はすんだなぁ?」


「知りませんよ。僕はここが西より優れてるとかは知りませんし。」


少なくとも西側でも家出があることがわかった。


「そうかよぉ。いつから家出してんだよ。」


また、軽く流され次の質問が投げ出される。


「言いたくない。」


「はん!」


いつの間にか二人は開けた場所に来ていた。町の明かりもいつの間にか後ろにある。すると男は急に大声で話し始めた。


「俺はなぁ。下らねぇ下らねぇ西側から逃げてきた!」


男は星空を見つめながらしゃべる。


「逃げて、きた?」


どういうことだろう。西側が実力主義なのは知っているがこれだけの強さの人間が逃げてきたのか。その前になんで逃げてきたんだ。


「西側が力が全てなのは知ってるかぁ?」


「はい。学校で習いますよ。」


「はん!そうか。ここはお前みたいな家出少年でも学校に行けんだなぁ!」


どういうことだろう?疑問は次の言葉にかき消される。


「西は力が全てだ!だからなぁ、俺は飽きた。俺は最強だ。最強だから下らねぇんだ。つえぇってのはな、つえぇだけなんだよ。」


「最、強?」


この男は最強だったのか?


たしかにあの強さだ。西の基準はわからないけど強そうではある。


男は大きく空に指を指す。


「俺は新しいものが見たい。すげぇもんが見てえんだ。」


彼は続ける。


「そうだ!お前、俺についてこい。俺と一緒になにかを探そうじゃねぇか。家出少年よ。」


「!!」


家出少年、か。何かを探すっていうのは悪くない気がしてきた。にが、この大雑把さだ。大丈夫なのだろうか。


「何か準備はあるの?」


「ねぇよ。っていいてぇがある。」


意外なことにこの男はその辺はしっかりしているのだろうか。


「アホからぶんどった飛行機械がある。」


ぶんどったって盗んだのか?


「盗んだ訳じゃないぜ。」


「僕の考えてることわかるんですか?」


「あ?知らねえよそんなん。」




7


いつの間にか町に戻ってきた。道を歩いている人は大分減っていた。そんな中昼間通った家電屋のテレビ画面がまだついているのが見えた。


「おぉ。お前さぁ、帝国って何か教えろよ。」


突然、男はそう聞いてきた。


テレビの画面に目を凝らせば昼間のニュースを続けていた。あの帝国艦のニュースは大変なものだったようだ。


「教科書レベルしか僕は知りません。それでいいなら教えます。」


「はん!それでいい。教えろ。」


僕は帝国がかつて連邦を苦しめたこと。その力についてを教えた。それだけでも彼は満足したようだ。何も知らなかったみたいだからそんなもんなのだろう。


「そりゃあ。」


「?」


彼の次の発言を聞かなければよかったと思った。


「おもしろそうだ!帝国ってやつをぶっ倒しに行く!」


あんた、すげえもんみたいって言ってたくせに結局


戦いたいだけかよ。


「あの、」


それを口に出そうと思った時、彼の名前をまだ知らないことに気づいた。


「あ?」


「あなたの名前は?」


「俺の名前?知りてぇのか?」


「知りたいです。」


「クラウス。クラウス・L・クリートだ。」


男は特に躊躇もなく答えた。


「まあよ。ついてこいよ。お前もでっけぇ世界がみてぇんじゃないのかぁ?」


違う、と答えたら嘘だ。でも、自分はしがらみから逃れるために家出しただけだ。必ずしも新しいものを見たいとは思わない。それなのになぜだろう。新しい物を見るということに興味が涌いてくる。


「見たい。見たいです。僕も新しい物を見たい。」


そう口走ってしまった。


「決まりだ!お前なら言ってくれると思ったぜ!」


クラウスはそう答えた。どこからそんな根拠が出てきたのだろう。


自分は見たいといってしまった。そうとなれば、改めて準備してるか聞いてみなければ。


「飛行機以外に準備はあるの?クラウスさん。」


「おお、少し丸くなったじゃねぇか。飛行機以外はねぇ。お前、準備できんなら代わりにやってくれよ。」


彼は僕がいなければ飛行機だけで帝国まで行く気だったのか。


「仕方ないですね。僕が準備するよ。」


自分は何を言っているのだろう。ついていくとはいえ、これではまるで召し使いかなんかじゃないか。


「あぁ。頼んだぜ。相棒。」


そういって彼は自分の肩をバシンと叩いた。


めちゃくちゃ痛い。


「はいはい。」


そんやかんやで僕らは今ここにいる。この空の上に。どこまでも澄みきった大空の上に。




8


星暦1929年8月10日


海の上に浮くものに気づいたのは空に入った一日後だった。それは大きな残骸だった。船のような形をしたそれはところどころ焦げつつ、半分ほどはかろうじて原型をとどめていた。よく見渡せば海には似通った異物や破片がところどころ浮いていた。


「クラウスさん!海の上になんか浮いてる」


「あ?なんだありゃぁ。」


「多分船だよ。それにあの砲台。多分軍艦だ。」


小型の砲台のようなものが海を浮いている。


「なんでここに船の残骸が?昔の残骸??」


「そりゃあないだろ。」


何食わぬ顔に見えて少し深刻そうにクラウスが話す。


「?」


「人がいる。生きてんのは、、一人だけか。」


「ど、どういうこと?生きてんのが一人って死人もいるの??」


一体下で何が起きているのだろう。


「降りよう!」


「あぁ?もう一日飛んでんだぜ。まじでいってんのか?」


生きてるというのは流れ的に怪我人かもしれない。いや、こんな海の真ん中にいるのだ。助けないと。


「お前、俺は見直したぜ。どんくさいガキかと思ってたが。」


そういって彼は操縦桿を操作して海に降りる。クラウスが西側の人間なのに飛行機を操縦できることも不思議だが、この飛行機の利便性にも自分は驚いた。水陸どちらにも降りれるのだ。


水面が近づいてくると、船の悲惨さが目に入ってくる中には言葉に表せないようなものもある。そんな中、飛行機は着水した。


艦橋?とおぼしき場所に一人の女性が持たれているのが見えた。


「あのー!大丈夫ですかー?!」


大丈夫じゃないとわかってても自分にはこれしか声のかけ方がわからなかった。


「お前、やっぱガキだな。ここは物もって直に助けにいくんだよ。」


言葉と共に彼はドシンとめちゃくちゃになった甲板とおぼしきところに降りると、人間とは思えない身の降りで艦橋にたどり着く。遅れてソーヤもたどり着く。


「おい。あんた。生きてるか?」


一言耳の近くで彼は聞く。


すると彼女は少しだけ目を開くと


「私、、い、、きてるの?」


「よ、よかった!生きてるよ!あなたは生きてる!!」


人を助けるというはじめての経験にソーヤは声をあげて喜んだ。彼女は生きていた。ソーヤが彼女を助けたかったのは本当は理由があった。だから、彼女が生きていて、彼は喜んだ。


「はん!よかったじゃねぇか。生きててよぉ。」


クラウスがそう言った時、彼女は安堵したかのようにまた目を閉じた。


それからは少し治療をすることにした。自分は他に生存者がいないか調べた。しかし、クラウスの言うとおり、他に生きている者はいなかった。


それにしても軍艦がめちゃくちゃになっているこの状態。嵐にあってこうなったとは思えない。素人がみてもわかるような戦闘の跡。考えたくはないけど昼のニュースと関連しているとしたら。だとしたら連邦軍は。彼女らは。



帝国に負けたのか?



ニュースで見たあのとても大きな飛行艦に。


「おーい。起きたぞー。」


そう考えていたらクラウスの大きな声が聞こえる。

一旦急いで戻ろう。




9


私は誰だろう?私は一体?


そう思ったとき、ふいに一人の女が寄ってくる。



「あぁなたぁのせいでぇ。わたしのぉ推しだったのにぃ。」



女の後ろには数人の男たちも見える。いや、それだけじゃない。一緒に戦った人だ。一緒に戦った人たちが私を攻め立てようとしていた。そのとき、彼女はふと目覚める。ラーナ・フィルシーは覚醒した。


「ここ、、は?」


目の前には二人の男がいる。赤毛のナイスガイと黒髪のパットしない青年だ。


「知らねぇな。ソーヤ?」


「僕もわからないんだけど。クラウスさんが操作してたじゃん。」



バカみたいなやり取りをする二人。



バカみたいなやり取り。



思い出した。



私は。



私は。




「あぁぁ、、あ、わ、、たしは部下を。」



どうして。



涙が溢れてくるの?私は別に部下たちのことは。


部下たち。そう、彼女、彼らは部下たちだった。私は。あぁ。


私は大きく泣いた。まさか泣くとは思っていなかった。それでも、わかってしまった。知ってしまった。


もう私と共にいた人達はここにはいないのだ。短い期間だったが、それでも私は。



部下を死なせてしまった。



だが、虚しく泣く彼女にこれとは別に一つだけ気がかりがあった。



帝国艦はどうなったのか?

ラーナはどうなってしまうのでしょう。帝国艦はどうなったのでしょう。帝国を目指すソーヤたちの運命は?

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