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OVER END オーバーエンド  作者: 葦(あし)
3/5

嵐の黎明

第5艦隊を嵐大洋艦隊に変更しました。

星暦1929年8月7日 空母バタフライ



1


ラーナにかかった急な召集。通信ではなく旗艦への直接召集。つまり何か一大事が起きたことを意味する。当然この召集は艦隊全艦にかかっており各艦の艦長、艦隊司令部からなる合計50数名がこの会議室に集まっていた。


「急だが、大変な事態が発生した!」


艦隊司令の副官がまっすぐな声でしゃべりだす。その一声のもと、連邦軍北嵐大洋艦隊旗艦空母バタフライにて会議が始まった。


「では、今回の案件について説明する。既に一部では知っているものもいるだろうが、第七接合地点にて、我が国もとい我が艦隊の哨戒機が音信不通となった。詳しくは説明するよりこちらの映像を見てもらった方が早いな。」


クリスタルテレビのモニターが光る。そして映像がにはとてつもなく巨大な物が海の上、空を突き進む姿が写し出される。


「これは、、。」


「見たことがないものだな。西側にも中央連合にもこんなものなかったぞ。」


「見ろ。後ろの回廊と同じくらいのサイズだ。とんでもないでかさだ。」


数分の映像は突然プツンと切れ、詳細な見取り図を含んだ別の映像に切り替わった。


「以上が今回の事態に関する映像だ!」


各々の反応を遮るように副官がまた喋りだした。


「この物体は映像から全長3000m、全幅2000m以上の大型物体である。そしてこの物体にあった紋章からこれが帝国の船であることが判明した!」


ざわざわと会議室がどよめく。当然だ。かつて連邦の軍事力の半分以上を削った帝国。雲の向こうからやってきた未知の国。この帝国という国は“帝国である”ということ以外は何一つわかっていない。わかっていることと言えば兵器の外見やらなんやらである。


それよりもラーナにとっての悩みは艦長になってからの初の任務で帝国とか言う謎の国家と戦わないといけないかもしれないことだった。彼女が連邦軍に入ったのは一年前。士官学校の学長の推薦ではじめから巡洋艦の副官を任せられた。この時点で彼女からすると意味不明だが、もっと意味不明なのはつい先日またもや士官学校の学長の推薦でこの新造艦ロット·コロルクの艦長に任命されたのだ。そもそも彼女が士官になったのは給料が高いことと他の人には隠しているが軍艦フェチだからだ。軽い気持ちでなったことと彼女が天才だったことが仇になってしまった。ラーナ的にはラーナの任期中に争い事は起こらない予定、のはずだった。表側は西、中央、東で比較的まとまっている。例外と言えば西側にあるヤササレイ共和国だ。西側といえば個人の能力や魔法の才能など実力者がものを言う場所だ。そんな中で科学の発展によって力をつけてきたヤササレイはついていけなくなり遥か東方の連邦に接近。西側にあるにも関わらず連邦に属している。何はともあれ、これらは三つにまとまり、なおかつその目は内側を向いている。火種になりそうなことも特に今はない。いや、ヤササレイとは別に例外的な部分はたしかにあった。とはいいつつもラーナは争い事が起きないと思っていた。


が、しかし、、



嘘でしょ。嘘でしょ。なんでやばいこと起きちゃってるの。



「ラーナ少佐?何かおかしいことでも?」


「ひっ、そ、そんなことないに決まってるでしょ!!!」


会議室の視線がラーナを貫く。


「なんだ貴様。上官になんだその態度は?」


「す、すいません。考え事をしてまして。」


「、、。」


そんな彼女を裏腹に話は進む。


「まあ、いい!今はこちらが最優先だ!哨戒機から得られたことだが、映像の通り、この船には人がのっている可能性が高い。これは先の事変でも指摘されていたことだ!」


ラーナはここで小さく安堵した。相手が人だということは戦争を止められる可能性があるということだ。とはいっても彼女にはそのつもりはないのだが。しかし、ラーナは次の言葉で頭を抱える羽目になった。


「この大型物体に関して、司令部は我々北嵐大洋艦隊に対処を命じた!」



う、そ、だ。



「北嵐大洋艦隊は我々主力艦隊に加え、補助艦隊と合流し第七接合点に向かう!!今回の敵は全てが未知だ!手探りでの戦闘になることを忘れるな!!!」


こうしてミーティングは終了した。


、、。ひどい目にあった上に、、戦争かぁ。


溜め息をもらしながら彼女は会議室をあとにした。




2


既に乗艦に戻ってから数時間がたとうとしている。


今どこにいるのか聞かなくっちゃ。


艦長として彼女は指示を出す。


「現在位置は77552です。第七接合点は目の先ですね。」


キリッとした目付きの三十路のオペレーターがしゃべる。


「しかし、艦長。超大型物体に関して私たちはまだ何も聞いていないのですが、どうなってるんでしょう?」


「あれだけに決まってるでしょ!あれ以上は何も知らないわよ。」


「あ~ぁ、艦長のツンデレゲットですぅ。」


うわ。


メガネを光らせた女性が話に入ってくる。ラーナはこの人のことが苦手だ。少しでも弱みを見せるとこの結果になる。


「レイサ水雷長。黙っていただけないだろうか。」


すかさず三十路男が話す。この男、独身である。


「なぁに、いってるんですかぁ?ライガー氏~。」


「全く。なぜ私のような紳士がこんな場所に来てしまったんだ。空中艦の航海士もできるというのに、、。」


その性格がここに送られた理由だよ。


ラーナは思った。


「だまりなさぁーい!それよりもうそんな近くまできたの!?」


ポイント77552は彼の言うとおり第七接合点と目と鼻の先だ。つまりは、、


「見えた。」


今まで黙っていた男が窓の方を見て言った。ロドウィン・ハイセル。多分この艦橋で唯一まともな人物だ。


「あれが?帝国の船か?」


三十路男も窓から目の前に現れたものを見る。目の前には例の巨大な船が悠々と浮いていた。


「!!!!」


映像で見たものよりもはるかに大きく見える。



3000m。



現実世界で考えればスカイツリー約五個分のサイズだ。それだけの大きさの物体を彼らは目撃したのだった。


司令部はまさか、ほんとに攻撃する気?落とせるわけがない!こんな大きなもの!




3



「艦隊全艦に通達。攻撃を開始させろ。」



次はまた話が主人公軸にもどるかも。

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