赤毛の男
結局世界観がわかる感じにならなかったけどここから個人的に1話って感じです。
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星暦1929年8月8日
「はぁ、、。どうしてこうなっちゃったんだ、、。」
ソーヤ·イタカは心底溜め息をついていた。目の前には朝日がそんな彼のごく普通の顔と黒い髪を照らしている。一時間前に起きた彼は、今、2人乗りガンシップに揺られている。卵形の2人乗りの機体に単発プロペラと羽がついている代物だ。安物なので風防がこのガンシップにはない。風がガンガン当たって彼の気持ちは限界まで沈んでいた。この世界には魔法というものがあるが彼にはセンスがないので風を防ぐ魔法を起こすことも叶わない。
ともあれ、彼はなぜ溜め息をついているのか。別に風が当たっているからここまで沈んでいるわけではない。彼は風だけで沈む男ではない?、のだ。
ソーヤはこの都度冒険をしていた。正確には冒険という名の家出をしていた。だが、しかし、、。
それも二日で終わった、、、、。
二日目、あのニュースを見た後、その日の夜ご飯を探していたときに彼に悲劇は起きた。彼はその悲劇、つまり冒険をやめることになった原因に心底溜め息をついているのだ。
彼は悲劇が起きた昨晩のことを思い出す。
あのあと、自分は安い飯屋を探していた。金脆くにもたず冒険に出たんだ。当然のことだった。三時間ほど探して、破格の安さの飲み屋があったのでそこにした。
店内はよくある飲み屋らしくカウンター席とテーブル席にわかれていた。中はガラガラで糞も汚く床には三十代くらいだろうか、それくらいの年の男が爆睡している始末。ただし、客と言った客はこの男だけのようだ。
安い店はここしかないので仕方なくカウンター席に座って注文を頼んだ。汚い店にしては妙にきっちりした身なりの二十歳ほどの女性が注文を聞いて厨房の方に入っていった。それからほどなく頼んだ肉料理がやってきた。何事もなく食べ終わって料金を払おうとしたその時だった。
「おいおい?????オニイチャン、これじゃ足りねぇんじゃねぇかよぉ?おおぉおおん?料金表きっちり見たかぁ??」
突如、厨房の方のドアからぞろぞろといかにもヤバめの人たちが現れた。
はっ?
料金表には料理一品にしては破格の安さである50オーラムと記してある。出した金も50オーラム。一体なんの間違いがあるのだろうか?
どう見ても自分の出した料金に間違いがあるとは思えない。
「50オーラムって書いてますよ。」
すかさず答える。
「オニイチャン、よく見てみなよ。50の横。ちっちゃく0が二つ書いてあるよねぇ??近視かなんかで見えなかったかなぁ?」
疑問に思いながら料金表を見てみた。たしかに50の横にちっちゃく0がふたつ書いてあるではないか。つまり5000オーラムということなのだろうか。詐欺に嵌められた。といっても書いてあるのはたしかに書いてあるのだ。これは自分が悪いのだろうか。
自分の持ち金はちょうど5000オーラム。何も考えずに冒険にでた結果、元の所持金は6000オーラム。鉄道で1000オーラム消えたので今は5000オーラムだ。
出入りできそうなところはもうヤバめの人たちで固められている。
どうしようもないのでここは払うしかないのだろうか。ここで自分の冒険は終わるのだ。冒険どころか人生も終わるのかな。
そう思っていたとき、近くで誰かが蹴られる音がした。
「ゴラァ!!オニイサン?オジサン?どっちでもエエわ。起きろや、クソジジイゴラァ!!」
「そや、起きろや!!てめえもさっさと金払えやぁ!ビール15杯、3万オーラムや!!」
入ったときに床で寝てた人が蹴られていた。よく見たら、髪の毛の色は真っ赤な赤毛でムキムキのナイスガイだった。15杯も飲んだことに驚きつつ、他のヤバめの人たちの目線もあちらに半ば集中力していたので自分も注視することにした。もしかしたらこのナイスガイがこの状況をなんとかしてくれるかもしれない。すると彼はムクッと起きた。
「俺を蹴りやがったのはどこのどいつだ?ぶち殺すぞ。」
ナイスガイだが、この人もヤバめの人っぽい。
「おらぁ、ちょいナイスガイやからって調子乗るんやないでぇ!3万払えやぁ!!!」
「はっ?ナイスガイって言ったのは誉めるが、3万?一杯20だから合計300だろうが。計算もできねぇのか?」
「3万は3万や!払えんならどうなるか知っとるんやろうなぁ!?」
「俺が300つったら300なんだよ!次同じこと言ったらまじで殺すぞ!」
とんでもない暴論だ。もしかしたらこの隙に逃げられるんじゃないか?と思った時に事態は急変した。
「ええわ!野郎共、銃だせや!こいつの顔、レンコンにしたれ!」
ヤバめの人たちが全員銃を構える。まさか、ここで殺しが始まるのだろうか。運良く警察が来ないかと祈ろうとしたら、ナイスガイは言った。
「銃か?俺がこの間までいた西側にはなかったからなぁ。どんなもんか気になってはいたが、ほぉ、これが銃か。いいぜ。相手してやるよ。」
そして懐から木の棒を取り出した。
「この国では剣やら銃やら武器持っちゃダメらしくてな。仕方ねぇから公園で拾った木の棒使うわ。あれ?なんでお前ら銃持ってんの?」
挑発なのか本音なのかよくわからない言葉にヤバめの人たちの堪忍袋が爆発した。
「ぶっ殺したれやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
何が起こったのかわからなかった。
気付けば、暴発した銃を持った真っ裸になったヤバめの人たちがいた。なぜか親分?と蹴った人たちがいたところにはなぜか穴があり誰もいなくなっていた。はっきり言って意味不明な状況だ。
一体何が起きたんだ?
「銃か。大したことねえじゃねえか。」
「て、てめえ、な、なぁにしやがったぁ!?!?」
動揺する彼らにたいして赤毛の男は言った。
「見りゃぁわかるだろ。突いて、切ったんだよ。」
この人は何を言っているのだろう。突いて切った?どういう意味だ?
「突いて、切ったんだよ。わかんねぇかぁ?」
状況と言ってることから考えるとまさかのまさかだが、この男はまず銃が撃たれるより速く全ての銃口を木の棒で突いて内部で暴発させ、ヤバめの人たちの服を全て切ったあとに親分?と蹴った人たちを地中に突きで埋めたと言うことだろうか。よくこの考えに至ったなと自分で自分に感心しつつも、彼の所業を考える。この男はたったこの一瞬でこれを全て成したのか。他に手段は?ない。赤毛の男はこの一瞬でこれを成したのだ。木の棒で。
「まあ、いいわ。埋まってる三人は生きてるからよぉ。引き上げてやれ。300は置いてくぜ。」
そう言った彼は行こうとして立ち止まる。
「おい。お前」
ん?
「そこのお前だよ。おまえしかいねぇだろうが。」
どうやら自分のことだったようだ。なにかされるのだろうか。
「自分。ですか?」
「お前、俺のお陰で多分助かったぽいな。丁度いいからお前案内しろこの町。」
衝撃発言。自分、この町知らないんですけど。とんでもない人に絡まれた。多分、自分の冒険はこれで終わるんだな、と思った。本日二度目だよ。こう思ったの。
何はともあれ、自分は町に連れ出されるわけだが、この後、自分の冒険は本当に終わってしまうなんて夢にも思ってなかった。いや、これは新しい冒険?とにかく新しいなにかが始まった瞬間なのかもしれない。
次回もソーヤ君の話が続きます。1話の第五艦隊の話はもう少し後になるかも。




