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冒険者登録

 朝になった。

 部屋は暗いままだが、体内時計の働きで目が覚めた。


 「おはよう、アポロ。」

 (おはようミラ。)


 ミラはまだ起きてない体を伸びをして起こして、変化に気づく。


 「お、腹の調子は完全に直ったみたいだ、昨日は飯も食えたから体調もいいぞー!」

 (良かったな、ただでさえ貧弱な体なのだから回復できないかと心配したぞ。)

 「でもまたお腹が減っちゃったな、もったいないけど残りの携帯食料も少し食べようかなー、

でもー。」


 しかし、もし食べ物が見つからなければゴミを漁って食べ物を探す羽目になるため携帯食料を無暗に消費するのはためらわれた。

 

 (そんなものさっさと消費してしまうがよい、飯が無くなっとて私が森で適当な魔物を狩ってきてやる。)


 アポロは割れたツボの中から携帯食料を触手で器用に取り出し、ミラにグイグイと押し付けるようにして食べるよう促した。

 

 「ちょ、ちょっと、分かったから、食べるよ、今日はやることがあるし気合い入れないとね。」

 

 携帯食料を1つ平らげてから、ミラは外に出る準備を始めた。

 持ち物にはお金とナイフ、バッグに入れたポンチョ3着と水筒だけを持ち、階段を上り地上へ出た。


 「先ずは服屋さんよ、この布っ切れのままじゃ今日の主な目的も果たせなさそうだからね。」

 (それはよい、服がましになれば今ほど貧しそうに見えることもあるまい、その服は冒険にも不向きであるし、寒い時期になれば外に出るのも厳しいだろうしな。)


 アポロに従魔のバッジを貼って、2人は露店通りに向けて歩き出した。


 ......


 グンダの中央西の場所に露店通りがあり、そこでは中央通りの店より安価で買い物ができ、様々な人が自由に物を売り買いできる場所でもある。


 「ここにまともな買い物をしに来ることになるとはね。」

 

 朝早くではあるが、露店通りには既に多くの露店と客で賑わっていた。


 「アポロ行くよ。」

 (うむ。)


 連れだって歩く少女とメタルスライムの2人組が通りを歩くと、周りの人々は不思議そうに視線を向けた。

 

 「流石に注目されちゃうか、一応近くに居てね。」

 (昨日言われた事を気にしているのか?心配しているのはのはこっちの方なんだがな。)

 「下手に商人っぽい奴が開いてるとこだとぼったくられるかもしれないからなぁ~。」


 周りを警戒しながら露店を物色していると、一般の女性が開いていると思われる服を売っている露店の前で止まった。

 自分の店の前で止まった少女の様子を見て、スラムの子供であることを察した露店の女性は服が盗まれるのでは、と懐疑的な視線になった。


 「ねぇ、これ全部でいくら?」

 「えっ。」


 少女が真っ当に値段を聞いてきたので女性は驚いたが客なのであれば、と説明を始めた。


 「それらは全部で...そうねぇ銅貨18枚でいいわよ、でもそれって息子が昔着てた物だからあなたみたいな女の子には合わないかもよ?」


 ミラが選んだのは、膝ほどの丈の茶のズボン、黒のシャツ、靴下、ブーツ、どれも男物だった。


 (これらもなんら防御効果はないのだが、今はこれが限界か。)

 「別にいいよ、動きやすい服じゃないと意味ないから。」

 「そう?」


 ミラは女性に銅貨18枚を渡し、店を後にした。


 .........


 次に向かったのは比較的広い場所に建っている行水場だった。

 

 「普段は水飲み場くらいにしか思ってなかったんだけどね、せっかくいい服着れるんだから汚れは落とさないとだし。」

 (不浄は病のもとであるからな、これも目的とやらに必要なのか?)


 敷地内に入ると、ミラはあたりに生えている木に生った小粒の実をむしり取った。

 それはシャオムの実と呼ばれるもので、年中実をつけており、実を採ったとしても数日でまた同じ場所に新しい実が生えてくる。

 実を水につけて手でこすり合わせると簡易的な石鹸の代わりになる植物だ。


 「さて、早速行きますか。」


 2人は大きな倉庫のような形をしている二つの建物の内、女性用の建物に入った。


 (忘れてたがそもそも私が入ってよかったのだろうか。)


 横長に造られた室内には規則正しく並べられた汲み上げポンプが設置されており、一つの場所に一つ鎖で繋がった桶が用意されている。


 「まだ人はいないね、それじゃ心置きなく洗うとしますか!」


 ミラは服を脱ぎ、水とシャオムの実を使い、体や髪の毛にこびりついていた汚れを落としていく。

 

 (ナイフまで手放して随分と無防備だ、今後もこの場に来るときは私がそばで守らねばな。)

 「アポロも洗ってあげようか?」

 (...不要だ。)


 アポロは揺れながらミラから少し離れた。

 少ししてミラが全身を洗い終えると、元々来ていた服で濡れた体を拭いた後新しい服に着替えた。


 (雑だ。)

 「よしっ完璧!生まれ変わったみたいだ。」

 (うむ、貧相なのは変わらないが随分とましになったではないか、今の状態を保っていればスラムの人間とは思われまい。)


 桶の水面に映った自分を見て満足した後、元着ていた服をゴミ入れに捨て、荷物を持って次の目的地へ向かう。


 「さて、あたしの財布には今たったの銅貨5枚しかありません。」

 (それがどれほどの価値かは知らんがミラが貧乏なのは分かった。)


 グンダ王国で一般的に流通している貨幣は、小銅貨、銅貨、小銀貨、銀貨、小金貨、金貨の6つであり、それぞれ10枚あれば一つ上の価値の硬貨と同等の価値になる。


 「というわけで次は中央通りの店でいらないものを売ります。」

 (なるほど、金策もちゃんと考えていたわけか、その銅貨を一回吸収させてくれればコピーをいくらでも生み出せるんだが、それではミラのためにならんだろう、それに物の売り買いは経験したほうがいい、人間の取引とはどういうものか見て学ぶことは私にもプラスになるであろう。)


..........


 国の正門に繋がる大通りは貴族領の入り口に繋がっているため、綺麗な街並みとその広さが特徴だ。

 そんな街中にある冒険者向けの装備を下ろしている店でミラは足止めを食らっていた。


 「ちょっと!なんでこのポンチョ3着で小銀貨3枚ぽっちなのよ!」

 「はっ!テメェみたいなガキが持ってきたもんを買い取ってやるだけ有難く思えよ。」

 「有難くなんて思うわけないでしょ!これ防水加工に加えて自己修復の魔術式まで入ってんのよ!

むしろ売りに来たあたしに感謝しなさいよ!」

 「どうせどっかから盗んできたんだろ?お前にはもったいない代物だから俺がこうして買い取り料から盗品を買い取るリスク料、それからきたねぇ手で触ったもんを洗うクリーニング料を引いた適切な値段だろうが。」

 「なんだと、この糞野郎。」

 (商人とはこんなに下種な者共の集まりなのか?もう3件目なのに同じ展開がこうも続くと...どうやらスラムの者だからというだけでなく、親のいない子供も売買には不自由するらしい。もっと協調性がある種族ではなかったか?人間は。)


 ミラは商人からポンチョをひったくると、乱暴に店外へ出た。

 

 「滅べ!このハゲジジイが!」

 「なっ!待て!このクソガキ!」

 (金に困ったらこの店から全財産奪ってやるか。)

 

 アポロもこれに続いて脱兎の如く逃げ去った。

 勿論ミラを邪険にした店への報復を考えながら。


 「はぁ、まだ中央通りは早かったか、ろくな店がなかったな。」

 (そうだな。)

 「もう少し中央からははずれた場所に移動しようか、アポロ。」

 (この程度の難はどうということない、己の心をもっと強く持つのだミラよ。)


 落胆した様子のミラの気を和らげるようにアポロは寄り添って進んだ。

 日は既に傾き始めており、帰宅するのに掛かる時間を考えると、早めに売却を済ませなければ今日最後の予定を明日へ持ち越しすることも考えなくてはいけない時間に差し掛かってきた。

 下を向いて歩いていたミラが顔をあげると木造の建物の看板にはげかけている道具屋のマークが見えた。


 「あれ、こんなところに道具屋なんてあったんだ。」


 今までと違いボロさすら感じる店だったが取り合えず入ってみることにした。

 扉を開け、店内に踏み込むと、暗闇と木がきしむ音だけが感じられた。

 その不気味さにミラは否応なしに伺うような態度になってしまう。


 (ミラの住処程ではないが暗いな。)


 アポロに関しては全く気にもしなかったが。


 「あの~。」

 「...なんだ。」


 声をかけると店の奥からしわがれた声が返ってきた。

 声の元へ歩いていくと、カウンターに座って薬草を切り分けている白髪で長い髭を蓄えた背の低い老人がいた。

 老人はアポロとミラを一瞥するとすぐに興味を失ったようにまた作業を再開た。


 (この店は随分と老いた人間が働いているのだな。)

 「売却しに来たんだけど、できる?」

 「うちで扱えるもんだったらな。」

 「...これなんだけど。」


 ポンチョを3着渡すと老人は眼鏡をかけてポンチョの状態を鑑定し始めた。


 「防水に初級の自動修復術式、状態も悪くないな。」


 今までの店とは違う対応に希望を持ちつつも、自分が持ち込んだものを穴が開くように吟味する様を見て、ミラは緊張の面持ちになった。


 (なんだか人間にしては精霊のような厳かさのある老人だな。)

 

 鑑定が終わり、顔を上げた。


 「全部で銀貨5枚ってとこだな。」

 「!本当!?」


 期待していた額を超える結果に、驚きと嬉しさが混じった声を上げた。


 (どうやら満足いくような結果が得られたようだな、忠実に売買を行ってくれる人間は珍しいと見て考えると、これからはここを利用することになるだろう。)

 「売るなら今すぐ用意するがどうする。」

 「売る!売ります!」


 老人は引き出しから銀貨を5枚出すとミラに渡した。


 「確認しろ。」

 「うん、大丈夫、ありがとね!」


 店を出てすぐに興奮冷めやらぬままにミラが話しかけてきた。

 

 「やったよアポロ!一気に大金持ちになった気分!今人生で一番お金持ってるよ!」

 (まともに利用できる店があって良かった、まぁその唯一の店の主が群れを嫌ってそうな老人という点はなんとも言えないが。)

 

 ミラを人間社会にの輪に戻してやることも考えているアポロからすると、人嫌いな人間だけとコミュニティが形成されるのはいかがなものかと感じていた。


 (まぁそれはそれで立派な群れになるであろう。)


 アポロは思考を放棄した。


 「さてと、じゃあ今日のメインイベント冒険者登録に行こうと思います。」

 (取り調べの時に言っていたあれか、今日のやることとはそれのことだったのだな。)


 アポロの考えた通り、ミラの今日の一連の行動は全て再度冒険者登録に挑むためのものであった。


 「アポロもいるし今度こそは登録できるはず、協力してくれる?」

 (当たり前だ、ミラが望むのであれば、それを叶えるのが私の望みだ。)


 任せろと言わんばかりに触手でガッツポーズをする。


 「頼りにしてる。丁度この先に進んだところにギルドがあるから。」


 冒険者は荒くれ物が多く、冒険者ギルドは複数の支部がグンダに存在するが、その全てが治安の維持のため中央通りから離れた場所に建てられている。

 ミラが向かったのは比較的西のスラムに近いギルドで、質が悪い者が多くいる場所でもあった。


........


 「着いたよ。」


 その冒険者ギルドは木造で、中で酒場も営業している広い建物だった。

 緊張しているミラは深呼吸を繰り返し、恐怖に相対する準備を始めた。


 (恐れることはない、他者の誹謗は跳ね除けろ、毅然として挑め、後のことは私がサポートしよう。)

 「...よし、入ろう。」


 覚悟を決め扉を開けると酒を飲んで騒いでいた冒険者達が何人か鋭い視線を向けてくる。

 メタルスライムの従魔が珍しくて観察している者や、こちらを見て値踏みしては笑ったり揶揄する声が聞こえてくる。

 ミラにとっては魔物の巣窟に入り込んだような気分で、自分を馬鹿にする声がより鮮明に聞こえてくる。

 それでもなんとか震えを抑え、女性の受付がいる冒険者の窓口に到着した。


 「なんのご用ですか?」

 「冒険者登録をしたいんだけど。」

 「登録ですか...こちらとしても冒険者になってすぐに死んでしまうような人に入られるのは困るのですが。」


 受付の女性は取り付く島もないような態度で返答してくる。


 「従魔もいるしそんなことにはならないわよ。」

 「...ラージメタルですか、運が良かったのか知りませんけどそういう人に限ってすぐにいなくなっちゃうんですよねぇ。」

 「はぁ、分かってるのよ、あんたらがあたしを馬鹿にしてて、普通は簡単にできる登録を妨害しようとしてんのは、試験でもなんでもやるから早く登録してくれる?」


 自信を持った態度で受付に言い放った。

 冒険者登録はスラムの人間にも行えて、且簡単に身分証を得られる手段なのだが、力の弱い女性や子供は登録する資格を持っているにもかかわらず今回のように嫌がらせを受け登録することができなかったり、周りの冒険者によって暴行されたりすることもある。

 そうなった場合でもギルド側は外部の人間ましてやスラムの人間など助けてくれることはない。

 そして今まさに例と同じ状況が起ころうとしていた。

 酔っぱらっている男の冒険者3人が近づいてきた。


 「おいおい嬢ちゃん、あんまりギルドに難癖付けてもらっちゃあ困るよ。」

 「これはこれは”猛牛”の皆様。」


 冒険者には数人が共に活動するパーティという組み分けがあり、絡んできた3人組は”猛牛”という名前のパーティーだった。

 猛牛が絡みに行ったのを見て受付の女は歪んだ笑顔になり、周りの冒険者も騒がしくなり始めた。


 「面白そうなことになってきたじゃない。」

 「あーあかわいそうに、質の悪い奴らに絡まれちまったなぁ。」

 「俺はあいつらがあのガキを部屋に連れ込むのに賭けるぜ。」

 「俺はボコボコにされるに賭ける。」

 「死ぬんじゃねえの?」


 好奇の目線にさらされミラの額に汗が滲む。


 「何の用?」

 「態度がなってねぇなぁ、俺はお前なんて秒で殺せるんだぜぇ?」


 スキンヘッドの大男がそう言いながら背負っていた大剣の刃を見せる。

 それに追随するように残りの2人の男も下卑た笑みをしながら近づいてくる。


 「俺たちに盾突く暇があんならその貧相な体でご奉仕したほうがいいんじゃねぇのか?」

 「そうすれば冒険者になれる方法を教えてやってもいいぜぇ?」


 大人の男に囲まれてミラの怯えはピークに達していた。

 睨むのが精いっぱいで男たちの言葉を返すことすらできない。

 その様子を見てスキンヘッドがにやりと笑う。


 「よし、俺は優しいからチャンスをやろう、俺達がこの場でお前を審査してやるよ、勝てたら登録させてやる、いいだろ?」

 「まぁ!いいのですか?あなた感謝しなさい?Dランクの方々が直々に審査をしてくれるらしいですよ。」

 「よし!決まりだな、お前が負けたらスラムの人間らしく俺達の奴隷にしてやるよ。」

 「何よそれ!そんなの受け入れるわけないじゃない!」

 「いーやもう決定したことだからな、そのスライムも俺たちが有効活用してやるよ!」


 そう言いながらいきなりスキンヘッドの男が拳を振り上げ殴りかかってきた。

 ナイフを抜く暇もなく、ミラは涙目になりながら腕で頭をかばった。

 そこに容赦のない大男の一撃が!.....落ちてこなかった。


 「「「「?」」」」


 この場の誰もが困惑した。

 ミラが無事だったことにではなく、大男の一撃が届かなかったことにでもない。

 ()()()3()()()()()()()姿()()()()()()()

 ミラも腕を下げて周囲を確認する。

 するとひと回り膨張したアポロが目に入る。

 しかし、アポロは最初と同じ位置で微動だにせず佇んでいるだけなので犯人は分からない。

 突然の出来事、しかも結末もないまま放り出された人々は静まり返り、ギルド内が物音しか聞こえなくなった。

 すると突然犯人が名乗り出た。


 『バンッ!バンッ!バンッ!』

 「キャア!」


 アポロが何故か裸になった3人組を勢いよく吐き出した!

 受付の女に向かって。

 気絶した裸の男達が受付の女にクリーンヒットし、上に覆いかぶさる。


 「痛ててて、何......!?ギャァァァァァァァァァ!イヤァァァァァァ!!!!どっどいてぇ!だれかどかしてぇ!重いし臭いしべとべとするぅ!」

 (ふん!ゴミ同士お似合いじゃないか、あまりにも低俗で醜い奴しかいないものだから全員始末してやろうかと思ったぞ!貴様らの首が繋がってるのはミラが冒険者登録をできるようにするためだからな!思い上がるのではない!)


 受付の女を同僚達が全裸の男の山から助け出す。

 アポロは放心状態のミラに受付の方を向かせる。


 「ア、アポロ?」

 (さぁ試験とやらにはこっちが勝ったのだ、目的を果たそう。」

 「...やれってことね、分かった。」


 ミラは救出されたばかりの受付の女の前に移動すると、カウンター越しに胸倉を掴んだ。


 「おい、あたしの勝ちだよな?」

 「あっあんたらなにしたのよ!」

 「別に?まだ認めないわけ?だったらあんたを同じ目にあわせて後ろの冒険者共にくれてやる、それで違うやつに登録してもらうから。」

 (ほう、良い案だ、そいつはいけ好かないしすぐそうしよう。)


 アポロが触手を受付の女にゆっくりと近づける。


 「わ!分かったわ!あなたたちの勝ちよ!認めるから止めてちょうだい!」


 慌てて書類を取り出し、書類の作成を始める。

 

 「お名前は何でしょうか?」

 「...ミラ。」

 「そちらの従魔のお名前は...?」

 「アポロ。」

 「わ、分かりました、えっと、登録料が銅貨10枚かかるのですが...。」

 「...はい。」

 

 ぶっきらぼうに答えて銀貨を出す。

 

 「ありがとうございます!では、小銀貨9枚とFランクのプレートをどうぞ!」


 プレートを受け取ったミラはそれを首に掛け、説明を続けるよう促した。

 説明は要約すると、

 ・依頼は冒険者のランクと同じランクの依頼しか受けられない

 ・依頼に失敗すると違約金が発生する

 ・怪我など、依頼における事故の責任は全て冒険者自身にある

 ・犯罪を犯した場合、登録は抹消される

 ・冒険者同士の問題にはギルドは基本的に対応しない

 ・パーティーを組む際は登録が必要

 といった具合だった。

 説明も終わりいよいよ帰るだけとなったミラは最後に終始媚びるような態度の受付の女に釘をさすことにした。


 「じゃあもう帰るけど、もし次もなめた対応したらおんなじ目に遭ってもらうから。」

 「はいっ!分かりました!」

 「よし、帰ろうアポロ。」


 アポロとミラは誰にも邪魔されることなくギルドを出た。

 するとそれまで静かだった一部始終を観ていた者達は次の瞬間大笑いし始めた。


 「ギャハハハ!猛牛の奴ら返り討ちにされてやんの!」

 「私あんな仕事熱心な受付嬢見たことないわ~。」

 「おい!猛牛共の荷物はどこだ?今なら漁り放題だぞ!」

 「だめだ!全部ぶん盗られてやがるぜ!冒険者プレートも金も装備も全部だ!」

 「マジかよ!?一気に奈落の底に落ちちまったな、登録抹消もあり得るぞ。」

 「いいもん見れたぜ、酒の肴には最高の喜劇だ!」

 「また新しい笑い話ができちまったな!」


 誰もが新しく生まれた冒険者の話題を口にしていた、称え、敗者を罵り、笑った。

 その場の盛り上がりは最高潮に達し、冒険者達の喧騒は朝まで続く事となった。


 .........


 「むにゃむにゃ。」

 (見事に寝てしまったな、私を掴んだまま。)


 ミラは茫然としたまま機械のように歩き、地下室に着いた後すぐに何も食べずに寝てしまった。


 (昨日今日とミラは強い悪意にさらされた、しかし私の力の一端を見せることもできた。このことが彼女にとって吉と出るか凶と出るか、ミラの心が正しくあらねばこの力を悪用してしまうであろう。

そうならないようにするのが私の新たな目標、そして今日学んだことは...あまり人間の共存心や協調性には期待しないことだな。)



なんだか1話にかかる文字数がどんどん多くなっていくのに驚きです。

さて、4話まで書いた現在のトレンドは登場人物のセリフがちゃんとキャラ崩壊になっていないか不安になることです( ;∀;)。

あれ、とかそれ、とかその、とかを連発してないか(してる希ガス)、気になるところですがとりあえず投稿だ!という気持ちで投稿しておりますので、ここをこうした方がいい、これはどういうことなの?ということがあれば教えてください!気づき次第答えます!ではまた一週間以内に(`・ω・´)...できればね。

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