妹は神様?!
目覚めると、明るい照明に照らされ、白色がきちょうの保健室だった。
「あら、起きたの?」
「まひる先生!」
「お、元気はいいみたいだね」
アニメで見るより、綺麗だ。それに…胸でかくね?
「お、俺いつも見てました!」
「ん、んん?」
ばか、このアニメのキャラなんだからそんなこと分かるわけないだろ!
「す、すみません。間違えました。いつも見たいと思ってました」
「それ告白?私を見るのは今日限りにしてね。ちゃんと授業受けなさい」
うわ〜、このセリフ言われてみたかった。最高!
「は、はい。俺じゃあ戻りますね」
俺は保健室を出て教室へ向かう。今から楽しみだ。一体俺はどんなキャラクター設定で、どんなキャラクターと絡みを持つのか、絶対主人公には近づかないでおこう。なぜって?ヒロイン取られるだろうが!
そんな俺の甘い考えは、ぶち壊される。そう、俺のキャラクター設定は、、
「おい、さっさとコーラ買ってこい!」
えぇ〜〜!!!
まさかのいじめられっ子のキャラ設定?!しかもこれ、主人公が助けるやつじゃねぇーか!
こんな役さっさと変えたいと思いつつも、アニメで見るより迫力のあるヤンキー連中が想像以上に怖く、全然反抗できない。
仕方なくコーラを買いにいくことになった俺は、急いで1階にある自販機へと向かう。
「ったく、なんで俺が……」
「た、大変だね…」
「まじで大変だよ。リアルじゃそんなこと1度もなかったのに……」
「リアル?」
「あぁ、悪い忘れてくれ」
またやらかしたと思い、俺は後ろを振り向く。そこには100円玉を可愛くに手に持った瀬川結が立っていた。
「っ、せ、瀬川結、さん?」
「え、うん。そうだけど…」
うわぁぁっ〜〜!大好きなヒロインがこんな間近にっ!うわ〜やっぱり可愛い!
「結城くん、大丈夫?」
結さんが、俺の名前を……
「だ、大丈夫、大丈夫」
やべぇー、嬉しすぎて言葉が出てこね〜。こ、こっからどうやって声掛けたら…
とりあえず俺はコーラを買って、結さんに自販機を譲る。
「あ、ありがと」
「う、うん…」
恥ずかしさと嬉しさが入り交じり、結局何も言えないまま俺は静かに教室へ帰った。
その後の昼休みもパシられた俺は、放課後バレずに急いで家に帰った。
もっと結さんと話したいのは山々たが、俺のようなモブキャラでは時間が圧倒的に足りない。はぁ。
そういえばこっちに転移してしまった俺の家庭はどうなってるんだろう。両親共々こちらに転移してきたのだろうか?
そんな疑問を頭に過ぎらせながらも、見た事のある光景を楽しみながら帰路に着いた。
「ただいま」
「「おかえり」」
両親は2人ともいるみたいだな……
俺はリビングに入り、唖然とした。
確かに両親はいた。でも見慣れない人物がそこにいた。
「あ、お兄ちゃんおかえり」
「いや誰だよ?!」
全く知らない。俺は一人っ子で姉も兄も弟もましてや妹などいない。それなのに何故か、両親の横でソファーに寝転んでるこいつは誰だ?
「何言ってるのよ星矢。あなたの妹でしょ」
いや何言ってんだよ母さん、俺一人っ子だぞ?すると妹らしき少女は、むぅーと顔を膨らませてから俺の腕をとりそのまま部屋へと連れていかれた。
「か、神?!」
「いかにも」
少女の話によれば、俺をこの世界に送った張本人であり、次元を超える唯一の存在だとか……
そんな通常ではありえないようなことを信じれるはずもなく、俺はただただ、口をぽかんと開けて聞くしか無かった。
「お主の望むようにしてやったがどうじゃ?楽しめそうか?」
「え?!」
「お主が向こうの世界では満足に生活できておらんかったからこっちの世界に連れてきてやったんじゃ感謝せんか」
「あ、ありがとうございます?」
本当に神…なのか?でも神ってもっとこう、おじいちゃんというか…
「わしの見た目か?神がおじいちゃんみたいなどただの人の想像にすぎん。まぁわしはその逆の幼女じゃけどな」
心を読まれ、いよいよ神と信じるとしかなくなる。
「神様ならなんで俺の妹?」
「お主のそばに入れるのはこの役職しかなかったんじゃよ」
役職って…どうやら神らしいな。
俺は手を合わせ、自称神に向かって拝む。
「神様ほんとうにありがとうございます」
感謝してもしきれない。俺をこの世界に連れてきてくれてもう1つの人生を俺にくれて。
「よいよい。それとわしのことは神とは呼ばず、「結城巫女」と呼んで欲しい」
すごいな巫女って、さすが神だ。
「敬語は要らんぞ、それとこの喋り方もしんどいからそろそろ普通に戻るか。お兄ちゃん、これからよろしくね!」
巫女は手を差出してくる。俺はそれを握り
「よろしくな巫女」
まさかまさかの展開、憧れだったアニメの世界へと足を踏み入れた俺。たくさんの想像が膨らむ。これからの生活が段々と楽しみになり、俺は興奮を抑えることが出来なかった。
結は絶対に俺が貰う!