スイレンの日常
コメディーってどうやったら、笑えるものになるんだろうか((殴
村人の朝は早い。やることがたくさんあるからだ。
ならば騎士はどうだろうか?もちろん朝は早い。朝は稽古をし、朝食を食べてから村の入り口を見張り、護衛する。
僕はスイレン。 僕の職業は護衛騎士。村を衛ることが役目だ。人を護衛することは極々たまにしかないからあまり経験はない。
でも、退屈はしない。むしろ与えられた役割を果たしていることに対しての満足感がある。確かに、村の外を見て回ってみたいけれども、村の護衛というとても大きな役割を任されているのだから我慢できる。
さあ、今日も仕事頑張ろう!!っと。
「あ、スイレンだ!!」
「おはようスイレンおはよ!!」
「スイレン、今日もお仕事頑張って。」
「スイレンや、今日も元気じゃな。」
村の入り口に行くまでにいろんな人に声をかけられる。皆の期待に応
えるためにも僕ももっと修練していかなくては…!!
そんなことを考えているうちに村の入り口に着いた。
この村の周りにあるナーガの森はたくさんの魔物が生息している。村の人々は魔物の脅威から身を守るために村の周りに木でできた壁を築いた。
外壁で囲まれたこの村唯一の入り口がこの門で僕はこの門を衛る事が今のところの仕事だ。近づいていくと門の脇で煙草を吸っている不真面目そうな兵士の姿が見える。
「よぉ~スイレンじゃねぇか!!」
「ダレンさん・・・まじめに働いてくださいよ・・・」
「わぁってるよ。んなこたぁ。だけどよ、こんなでっかい門なんざワーボアの群れでも突撃してきたってよ、そう簡単に破れないだろ?」
ワーボアとは、大きなイノシシの様な姿をした魔物でとにかく凶悪な性格をしている。この村の近くではあまり見かけないけど、このナーガの森の奥には巣が沢山あり、そこらじゅうで群れを見かけることが多いと冒険者に聞いたことがある。
「確かにそうですけど、せっかく与えられた仕事なんですから・・・」
「へいへい。分かりました分かりました。っかぁ~!!これだからお堅い騎士サマはよぉ~!」
「嫌味を言ってる暇があったら少しは壁の周りを警邏したらどうですか?」
「ふぁ~い分かりやしたよ。」
っかぁ~やってらんねぇ~と、言いながら見回りに行くダレンさん。
彼はああ見えても意外と働き者なのだ。
僕は門の前で村を訪れる人がいるかどうかを確認し、魔物が来た時のために門の前を警戒しておく。
「スイレンさん、おはようございます。」
振り向くと、門の横にある衛兵専用の扉から一人の少女が出てきた。
「おはようございます、ケルン様」
そう、僕が言うと、彼女は困ったような顔をしながら
「スイレンさん、私のことは昔のようにカエデと呼んでほしいです。」
僕はその言葉を聞いて慌てて言い返した。
「いえいえ!!聖女候補になられたお方をお名前でお呼びするなどと・・」
するとケルン様は急に真顔になって
「私はあなただからこの名前で呼ぶことを許しているのです。」
「しかし・・・」
「あなたは私のことを守ってくれるのでしょう?なら、いざという時のために気軽に呼べるようにしないと。」
「そうでしょう?」
と僕に向かって笑いかけてくるカエデ様に僕は仕方なく、
「分かりました。カエデ様」
様が付いていることにまだ不服そうな顔をなさっていたが、これが僕の譲れる最終ラインだ。彼女は
「まぁ、今はそれでいいでしょう。」
と、不服そうに言ったが、ふと真面目な顔になると、
「ああ、それと、今日はあなたに一つ仕事を頼みたいのです。」
「何でしょうか?」
「この度帝都にある教会本部から本物の聖女かどうかの検査をするということで出頭命令が通達されました。なのであなたに護衛を頼もうと思いまして…」
僕はその言葉を聞いて思わず飛び上がってしまいたい衝動にかられたが、それを何とか抑えて返答した。
「わかりました。引き受けさせていただきます!!」
すると、僕が即答したことに驚いたのか、僕の顔を笑顔のままじっと凝視していたがしばらくして、
「お願いします。」
との返答が返ってきた。
こうして僕の護衛騎士として初めての帝都までの護衛任務が決まった。
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