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第一話 挫折への道

―今の願いは、あったかい布団で眠ること―



この物語は派遣社員として働いていた主人公:敦が、平凡な毎日の繰り返しの生活から一転、仕事をなくし、金もなくし、住むところをなくす危機的状況を描いた悲しき物語である…。



どうしてこうなっちゃったんだろう…。

大都会の東京の星も見えない暗い寒空の下、気温は…おそらく一桁であろう。

『ささるような寒さ』とはこの事を言うのだろうか。



敦は新潟の出身で、寒さには慣れている。また、スキーが趣味で、毎年必ず地元の新潟で、スキー場の住み込みバイトをしながら、スキーを楽しんでいた。

なので、多少の寒さは平気だ、と思っていた。

けれど…今は違う。

これから先の人生を考えた時の絶望感が、敦の体を一層冷やすのだ。



『何でオレが…』

重い足取りと厳しい寒さの中で、敦は繰り返しつぶやく。

ただただつぶやく…。



『これからどうしよう…これからどうしよう…』


―敦が新潟から出てきたのはちょうど三ヶ月前。フリーターであった敦は地元でたまたま手にした求人誌で見かけたのが、自動車工場での派遣社員としての仕事であった。

東京での住み込み、部屋も会社が用意してくれるとの事。

給料も悪くない。

『東京にも行ってみたい…うまくいけば、東京で金がたくさん稼げるかも知れない…。』

今思えば、これが人生の分かれ道だった…。

―こうして、敦の後戻りが出来ない物語が進んで行くのであった…。



無事、敦は東京の自動車工場で働く事になった。仕事内容はベルトコンベアに乗って流れてくる自動車に、ネジをつけるだけの単調なものである。難しい事はなかった。

敦は手先の器用さを活かして、仕事にもすぐに慣れた。

職場、というか、敦の周辺の人間はすべて敦と同じ派遣社員である為、同じ境遇の人間同士、すぐに打ち解ける事が出来た。職場環境は悪くなかった。

そして、仕事と共に始まった、東京での一人暮らし。

人と車の多さ、夜の街。新潟とは全然違う。

敦は刺激的な東京の生活を楽しみ始めていた。

敦は東京での新たな生活に大きな手応えを感じていた。

やれる―敦はこの上ない満足感を得ていた。

その時、敦に迷いはなかった。



ただ、無情にも敦にとって人生最悪の時間が刻一刻と近づいてくるのであった…。



つづく

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