story6
「ここが、私達のギルドハウスよ。中に来て。仲間を紹介するわ」
「たっだいまぁー!」
リアンとキーファは館の中へ入って行った。
あんなに高いところにあった陽は地面スレスレにまで傾いていた。空は群青色から橙色に変わっていた。
「───貴方の護りたかったもの。あの子に託したのね」
立派な洋館に入って行ったリアンとキーファについてダイキも洋館に入った。
「結構、古いな」
「仕方ないでしょう?ここしか空いて無かったんだから」
「そー、そー。んなこと言うなら兄ちゃんが建てなおしてくれよ」
「お!やっとおじさん呼びやめてくれたんだな。てか俺、金持ってないから」
洋館の中はうす暗く、あちこち継ぎはぎだらけだった。確かに、金があったら建てなおしたい。しばらくキョロキョロしていたらふいに声がした。
「あー!おかえりー!リーちゃんとキーちゃんと―――ダイちゃん」
声がしたほうを見ると1階のホールから2階へのびるオシャレな階段に黒い猫耳と長い尻尾が生えた可愛らしい少女がいた。猫耳少女は階段を下りてこちらへ歩いてきた。
「さすが異世界。てかなんで俺の名前」
「にゃ?だって伝説の剣を引き抜いた伝説の騎士様でしょう?ミミにはわかるもーん」
「だからってなんで俺の名前知ってんだよ」
「むむむー?あれー?ケンちゃんから何も聞いてないのかな?」
「は?ケンちゃん?誰それ?」
「そこらへんの説明はケンちゃんに教えてもらってね。そぉーれ」
黒猫少女は両手を振り上げた。すると、ダイキの周りに黒い光が溢れた。あまりの光量に目を瞑るダイキ。しばらくして目を開けると辺りは暗闇に包まれていたさっきまでの洋館はどこにもない。
「ここは?俺はさっきあの猫耳に…」
言葉を呟いた瞬間、暗闇が晴れた。そして、1つの小さな部屋が現れた。部屋には、机と椅子しかなかった。椅子には1人の男性が座っていた。男性はダイキに気付き顔を上げた。
「よお、ダイキ。よろしくな」
気だるげに片手をあげてそう言った男性の身体は鎖に繋がれていた―――