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story5

リアンは2人の顔の前に掌を向けた。


「―――業火の炎で焼いちゃうよ…?」

「「ひっ…!」」


黒い笑みを浮かべるリアンと引きつった顔をする2人。

3人の間を風が吹いていた。

「リ、リア!ちょっ!」

「スミマセンしたっぁぁぁぁぁ!!」


少女とダイキはリアンの気を収めようとあれやこれやしていた。

そんな様子を見たリアンは元の可愛い笑顔を顔に浮かべて掌を降ろした。


「うん。反省したようなので良しとします。」

「マジ感謝だぜ…」

「後、本当に仲良いわね」

「良くないけど!?俺をこんなどチビと同じにしないでくれない!?」

「なんだよ、どチビって!?アタシだって好きでこんな小さい訳じゃ無いんだよっ!」

「えっ!?おま、お前、女だったの!?」

「馬鹿にすんじゃねぇよ!」

「ほら、仲良いじゃない」

「リアンやめてくれ」


リアンが口を挟み、話が一段落したところでダイキが質問。


「このどチビも仲間なんだろ?察するに」

「仲間っていうかさっきも言ったけど私達《森林(フォレスト)》のギルドメンバーよ。ほら。キーファも自己紹介して」

「いや、もうそれ済ましてね?」

「それでは、ご紹介に預かりました。アタシの名前はキーファ。」

「あっ。スルー?」

「出身は貧民街で得意武器は銃だ。ギルドではサブマスターをしてる。でー?このおっさんは?」

「おっさん言うなこのどチビ。…ふふん。聞いて驚け!俺の名は、ササキ・ダイキ!この世界に現れた唯一無二の騎士様だ!」

「ふーん。あっそ。ま、よろしく」

「あれ?無関心?伝説の騎士様だよ?いいの?」

「私が、外回りに出た時にね、モンスターに襲われててその時に見つけたの」

「へぇー。そぉーなんだぁー」


キーファの痛い視線を全身に浴びるダイキ。だが、リアンが言っていることは全て本当だから反論することもできない。


「くそっ!本当のことだから言い返せねぇ。」

「はっ。ざまぁ」

「お前、マジで口悪ぃな」

「まぁ、まぁ。とりあえず、ギルドハウスへ帰りましょう」


なじりあいながら街の中へ向かう一行。街の中を歩いていて、気付いたことがあった。獣人、つまりは亜人がたくさんいるのだ。街造りも西洋っぽい感じだった。


「ふーん。良くある感じだな」

「ん?何か言った?」

「リア、やめておこう。おっさんはちょっとアタマおかしいから」

「おっさんやめろって。せめておにーさんとかにーちゃんとか」

「誰得だよ?」

「俺得だけど?俺だけの」


言葉を標準語なのを再確認したダイキ。安心して胸を撫で下ろした。これで会話に気を使う必要は無さそうだ。

そして、しばらく歩いて行くうちに街外れに出て、少し開けた場所に来た。目の前には大きな館があった。


「ここが、私達のギルドハウスよ。中に来て。仲間を紹介するわ」

「たっだいまぁー!」


リアンとキーファは館の中へ入って行った。

あんなに高いところにあった陽は地面スレスレにまで傾いていた。空は群青色から橙色に変わっていた。


「───貴方の護りたかったもの。あの子に託したのね」

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