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精霊魔導師と世界戦争  作者: よるみか
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魔獣狩り

大和の都市ーー中宮。その東の森の中ーー

「全てを見通す目に」

視覚拡張魔術「クレヤボヤンス」の詠唱が響く。

一方では、凄まじい速さで駆ける影が一つ。

前者がユウト、後者がタツミだ。

そして、足を使う者と目をつかう者。どちらが森に潜む竜種を早く見つけられるかで競っていたがーー

「目標発見!…………あ」

先に見つけたのはユウトであったが、その目には残酷な光景が映っていた。

「ちっ……先を越されたか。で、どうなんーーおい、大丈夫か?」

戻って来たタツミがユウトに話しかけるが、ユウトは黙ったままであった。

「どうせ、胸糞悪いもん見たんだろ?」

「……二百メートル先だ。シンジ、狙えるか?」

「……ああ、捕食中だったか」

横でタツミが戦慄していたがもう御構い無しだ。

「撃て」

「はいよ」

ダンッ!!

二つ返事でスナイパーライフルを運搬用魔晶石から展開、即座に狙い撃つ。頼もしいがーー

「……おい!狙いが二ミリズレてんじゃねえか!!」

「クソが!何でズレてんんだよ!!」

「てめぇが動揺してるからだろ」

「……クッ!…………ようやく冷静になったか。で、どうする?」

沈黙が生まれる。目標はこちらをまだ見つけられてないらしい。辺りに警戒しているようだ。

「……いかにも火炎ブレス出して来そうなやつだな。翼はないようだけど、わかんねえ。あのタイプは初めて見る」

見た感じの特徴とこれまで経験してきた魔獣狩りの記憶から特徴を予測し、報告する。

「類似タイプはあっても同種が無しね。ユウトがお初ってことはーー」

「ーー十中八九、新種だな」

三人で観察し、考察した限りではこんな感じだが全てがわかったわけではない。つまりーー

「当たって、砕け……だな」

「結局いつも通りか」

「やっぱ、おもしれえよな!そっちの方が!」

次の瞬間、三人は散開し、森の影から竜種を狩りにいった。



彼らの狩りは次の通りだ。

一、シンジの銃による中距離攻撃で敵の意識をシンジにのみ集中させる。

二、俺が生成した自前の剣で反対側から敵の上空より奇襲。確実にダメージを与える。

三、敵の意識が上にあるうちにタツミが懐に潜り込み、両手剣による最高の攻撃を加える。

四、一斉攻撃。


以上、魔獣クッキングでした。



そこには、腹を裂かれ、背は焼けただれ、頭部が蜂の巣になった竜種が転がっていた。当然、絶命している。

しかし、ユウトが見たものもまた、近くにあった。

「…………悲惨だな」

タツミがそう呟くがその一言でまとめられるようなものでは無い。

頭は完全に食われ、胸には大穴があき、内臓が飛び散り、腕は肘までが左右両方とも無いという「人間」であったと推測されるものが数体あった。

「……判別不能。もうそのままにしてやろうぜ。ユウト」

「わかってる。一応、軍に連絡入れといてくれるか」

「匿名で、だな」

「サンキュ、シンジ」

勝ったはずだった。見事に魔獣を仕留めたというのにーー


ーーそれまでに出た被害が、悲しみが多かった。


それからは、それこそいつも通りだった。

スコアを確認し、帰路に着く。汚れひとつ無く、誰一人欠ける事無く、夕食までに家に着くのだった。



夕食を食べ、風呂に入り、自室を暗くし、寝ようとベッドに横になりながら一人考える。

「使役精霊……か」

精霊の強さを考えなければ、学校でも精霊を従えているものは少なくは無い。

「けど、正直訳わかんないんだよな〜」

今までの人生で精霊を従えたことなど無いのだから。

しかし、無い物ねだりをしてもしょうがないので眠ることにする。

「…………タクヤをぶっ飛ばすの忘れてた」

そんなどうでもいいことをぼやいて、ユウトの一日は終えていく。


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