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精霊魔導師と世界戦争  作者: よるみか
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魔獣狩り(準備)

だいたい学校では、基礎魔術理論、基礎精霊術、数学、化学、生物、魔術公式、詠唱術、体育等、一般的な科目や魔術に重しを置いた時間割で構成されている。

今日の記憶に残ったのはーー詠唱術と体育だ。

詠唱術ではーー


「安らぎの光を」

治癒魔術の詠唱を唱えるのは……確か隣の席のフシミ=カオリ。声もまた、柔らかいが芯の通った優しい、聞く者を癒すようなものだ。成績は、中の上。容姿端麗。いい具合にスタイルが良いので男子には人気らしい。

「フシミ。調子が良いみたいだな。合格だ」

詠唱術担当の先生からのお褒めの言葉を預かっている、クラスからはおおっという声が出ている程だ。

俺から見たら、無駄が多いし、誰も気づいてないだろうけど意図的なミスをした詠唱だった。ーーコイツは何か隠してるやつだ。すっげーブーメランだけど……。

その後、俺も同じように火炎魔術を唱えて終える。


体育ではーー


「全員!飛翔!!」

担当の先生の号令により全員が飛行魔術を行使する。この魔術は、センスが必要で翼を生成しているように見える魔術なんだが、要は翼が無いと飛べない。そこで翼を生成できるセンスが必要になってくる。なので、できない生徒は魔術陣が施された靴というかブーツを着用する。まあ、うちのクラスは半々といった割合であった。ーーもちろん、靴は履いてないよ。

だが、ここでうざいのがあのゴリラであった。あいつの名前はコウノ=ダイチ。坊主頭に筋肉ダルマ。俺より身長が少し低いせいで余計筋肉ダルマだ。大事なことだから二回いった。よって、あだ名はゴリラ。

そして、空を飛ぶゴリラは地上より速かった。

「ヒャッホーーーー!みんな遅くなーーい?」

全員が恐怖した。あれが空からくると思うと背筋に冷たいものが走った。……普通にキモいしね。

で、空を飛ぶのは好きだったから、同じくらいのスピードで飛んでやった。

「そこのゴリラ!止まれ!これ以上キモい思いをさせるな!!」

「ユウト、てめえ!ケッコー傷つくことをいうな!!」

そのまま、三次元鬼ごっこが先生立会いのもとクラスで楽しんだ。


それが、今日の授業で面白かったものだ。あとはーーもう思い出せない。つまんなかったしね。


そして、現在。放課後となった生徒は武活に励む。なぜ「部活」じゃ無いかって?そんなの、区立高校に対抗するためだそうだ。ほぼ、強制的に入らされる。

所属しているのは、一番人気のない「片手直剣」。入った時なんか、三年生が四人いただけ。みんな弱えし。だけど、中学生からやっていたという女子が三人、男子が一人入ってきた。もちろん、一年生で。詰んでるだろ?

さらに、初心者が男子で五人いるというね。

合計で十四人の武活何だけど、これがひどかった。小さい区画でそれぞれの思い思いに練習していいんだそうだ。適当過ぎる。

しかも、秋の武活祭で全員出場だぞ?

ちなみに、武活祭ってのは全武活、全生徒のランダムトーナメント試合。掘り出し物探しにお偉いさんが来たりするらしいけど、一回も行ったことねえから楽しみでもある。

ちなみに、武活動は基本参加自由だから、真面目にやったやつが伸びる形式だがーーまあ、知ったこっちゃ無いんだよな。

なので、いつもはこのまま帰路に着くのだが、今日は月一回の日なのでいつもの集合場所へ向かう。



魔獣狩りーー文字どうり魔獣をハントしちゃうやつ。本当は、四人以上で行くのが一般的だけど、別に一人でもいけるのだ。命の保証は無いけど。

で、魔獣狩りにいこうと思ったら、掲示板を探して、そこで目標を定めてから都市障壁の外へ行くのがセオリーなのだが、俺達は「ぶらり、途中ブッパ」というスタイルでやっている。

そして、集合場所に到着するといつもの二人が立っていた。左にいる男がノダ=タツミ。近接攻撃担当、みんなのサンドバック、ただのタンク、といった感じ。

右にいる男がカドタ=シンジ。

中遠距離攻撃担当、ちとヤバイやつ、腕は確か、小さい、といったメンバーだ。

本当は、あと一人いたけど、お偉いさんに連れてかれた。ざまぁ。荒波に揉まれろ!

「うっす、ユウト。今日の目標決めといたぞー」

「?珍しい……シンジ、説明よろ」

「何と今日は竜種が出現したという情報を得た!どんなやつなんだろうな〜。撃ちてーーー!」

「安心の平常運転あざっす」

「んで、タツよ。俺の今日のポジは?」

「遊撃で」

「あいよ〜」

こんな感じに月一回の魔獣狩りが始まる。

余談だけど、周りは毎日行くとこもあれば週一の人達もいるので悪しからず。



魔獣狩りの為に今日は、東の森にやって来た。といっても、どうせ、南以外の三方向しか無い。空から海を渡れば、南方にある島に行けるが、あそこは愉しい場所らしいので行かない。めんどいし。

「で、一応ルール確認な」

いつも通り、木々の中を高速で走り抜いていきながら打ち合わせをする。これ、俺達の基本ね。

「ザコだろうと目標以外の魔獣狩りは禁止。やっちゃった時はそこで帰投する」

そう、ヘッドハンティングされない為に月一体というスコア調整をしている。どうせ上は、数しか見てないので、質は知らない。そこまで正確に調べられないってのが本当の理由何だけどさ。

こうして本性を隠しつつ、平和に暮らしている。



「そういえばさ、ユウト。あいつの居場所がわかったぞ」

「タツよ、でかした。で、どこ?」

「首都」

「ふぇ?……ご冗談を」

「いってねえ。神田にいるっていってんだよ」

説明が遅れたな。あいつこと鈍臭いやつ。名前はーー

「タクヤなら神田で元気にやってるーー」

「もうわかったから!これからサナダ=タクヤをぶっ飛ばしにいこうぜ。竜種とかどうでもいいわ」

「それやったら俺らも同じ目にあうんだけどわかってんのか?」

なんか不機嫌だな。あいつをぶっ飛ばせるのに。

「一蓮托生!運命共同体!」

「ふざけんなぁ!」

「何でだよ!友達だろ!?仲間だろ?」

「お前そういうことを本気でいっている風にすんの得意だもんな」

おっと、今にも攻撃して来そうだぞ。無謀な奴め!

「じゃあ、先にダウンさせた方の勝ちってことで……やるか?」

「バカいうな。俺ら三人揃ってもお前に勝てるわけねえのに……ましてや、サシとか論外じゃねえか」

やってみなくちゃわからんというのに……このヘタレ!!

「てわけで、先に目標見つけた方が勝ちってことで」

「魔術で俺に勝てると?」

「黙れ、マグレが!」

「誰がマグレだ!失礼だな!」

そんな感じで張り合ってる俺らを傍目に見ているシンジはーー

「クッソどうでもいいから。とっとと、やることやってぶっ飛ばしにいけばいいじゃねえか!!」

「「お前は、黙ってろ!!!」」

やっぱ、黙ってて、動かない方が安心できるな。コイツの場合。


今日の「外」は騒がしかった。



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